プーチン大統領は最近、ウクライナ各地に対する攻撃についてロシアメディアに尋ねられ、笑みを浮かべながら「我々は(ミサイル攻撃を)やっていますよ」と述べた。

 ウクライナ軍は兵力の3割を女性が占める。ザポリージャでたまたま知り合ったウクライナの女性軍人、マーラさんと喫茶店へ行き、次のように聞いてみた。

「ロシアでは誰が何のため、ウクライナに対する戦争をしているのだと思いますか?」

前線から休暇で帰郷した兵士、マーラさん=ザポリージャ市で、岡野直撮影
前線から休暇で帰郷した兵士、マーラさん=ザポリージャ市で、岡野直撮影

 マーラさんは「コレクチーブヌィ・プーチン(ロシア語で「プーチン集団」)ですよ」と答えた。独裁体制が続くロシアでは、プーチン大統領の周りに、イエスマン(大統領にとって耳当たりの良い情報しかあげない人間たち)が集まっている。そのため、正常な判断をすることができなくなっているということのようだ。

 マーラさんは東部の激戦地ドンバスから2日前に休暇で帰郷したばかり。軍事ジャーナリストを7年間やった後、軍人に転じたという50代の女性だ。物静かな口調で、国の状況を解説してくれ、最後にこう述べた。

「前線では、家に早く戻って、子供や孫に会いたいという気持ちが日ごと増すばかりです。それは私が女性だから、というのもあるでしょうね」

 岡野直/1985年、朝日新聞社入社。プーシキン・ロシア語大学(モスクワ)に留学後、社会部で基地問題や自衛隊・米軍を取材。シンガポール特派員として東南アジアを担当した。2021年からフリーに。関心はロシア、観光、文学。全国通訳案内士(ロシア語)。共著に『自衛隊知られざる変容』(朝日新聞社)