カズレーザー
カズレーザー

 10月25日、メイプル超合金のカズレーザーがMCを務める新番組『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)が始まった。1つのテーマにつき3人の専門家が解説をする教養系のバラエティ番組である。

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 カズレーザーにとっては初めてのプライムタイムの冠番組となる。すでに数多くのレギュラー番組を持っている彼が、また新たなステージに踏み出した。

 数年前までのテレビ業界では、クイズ番組で活躍するインテリ系クイズ芸人はそれほど多くはなかった。そこはほとんどロザンの宇治原史規の独占市場となっていた。京大卒という文句なしの学歴に加えて、本人の真面目さと器用さがクイズ番組に向いていた。その後も高学歴の芸人が次々にクイズ番組に名乗りを上げたものの、彼に比肩する人材はなかなか出てこなかった。

 そこに颯爽と現れたのがカズレーザーだった。同志社大学卒という学歴を買われて『Qさま!!』(テレビ朝日)の「ヤング学力王ナンバーワン決定戦」という企画に出演した彼は、初出場でいきなり優勝してしまった。ここでその才能を知らしめたカズレーザーは、一気にクイズ芸人として名を馳せることになった。

 クイズ番組で出題される問題は、学歴が高ければ解けるというものではない。カズレーザーはクイズを解くために必要な頭の回転の速さと豊富な知識を備えていた。そして何よりも、クイズを一種の趣味として心から楽しんでいた。カズレーザーは有り余る知的好奇心を売りにする新しいタイプのクイズ芸人としてその地位を確立した。

 さらに、彼はその特異な個性をクイズ以外の分野でも発揮し始めた。テレビ朝日の深夜番組『お願い!ランキング』の中で「カズレーザークリニック」という企画が行われた。そこではカズレーザーが高学歴の女性たちの悩みに答えていた。

 東大生の女性が「プライドが高すぎて将来周りに合わせられないのではないかと不安だ」という悩みを告げたところ、カズレーザーは「本当にプライドが高ければこんなカメラの前で丁寧に悩みを相談したりもしない」と一刀両断した。将来は自分と同じようなプライドの高いエリートに囲まれて仕事にすることになるから、プライドの高さがそんなに目立つことはないだろう、と鋭い分析をしてみせた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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