吉田努氏(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
吉田努氏(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

ベネッセグループ初の中学受験塾「進学館ルータス」を率いる吉田努氏に「中学受験の本質」を聞く連載の最終回。中学受験はおよそ3年間という長い時間を親子で走り抜ける。もちろんずっと全力疾走できればよいが、時には子どもの成績を受け止めて、冷静な判断をするタイミングも必要だ。連載のラストは、ずばり「受験校の見直し時期」について。4~5年生の間に志望校を見極める時期が3回ほどあるという。その時期と根拠とは――。

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 高校・大学受験と違って、中学受験はまだ12歳の子どものチャレンジだからこそ、保護者の「伴走」が必要になる。子どもにとってふさわしい学校を目指すにあたり、志望校選びで大事な時期があることを認識し、その時に保護者は何をすべきかを考える必要がある。

「中学受験の天王山は、ずばり5年生の夏です。塾のカリキュラムでは、新5年生(4年生の2月)から必要とされる勉強量が圧倒的に増えます。それゆえ、5年生の夏を乗り越えられるかが大きなターニングポイントになります」(吉田氏)

 これは意外と知られていない事実かもしれない。特に初めて中学受験を経験する保護者は受験年が一番大変と思いがちで、一般的にも中学受験の天王山は「6年生の夏」と言われているからだ。もちろん総仕上げとして6年生は大切だが、新しく習う知識とこなすべき課題量が一気に増えるのが5年生なのだ。「受験までまだ1年ある」と楽観せず、特に気を付けてわが子の様子を見る必要がある時期なのだ。

 その上で、5年生という時期を中心に4つの大切なステージがあるという。

「いわゆるトップクラスの難関校を目指す場合は、5年生に向けた学習の土台ができる『4年生の夏』が最初の見極め時期です。早生まれ、遅生まれという生まれ月による学力差がなくなる時期なので、ここで勉強の成果が結果に表れず、周りと差が開いている場合は、ライバルたちと志望校を争えるか、いったん考える必要があります」(吉田氏)

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最大の難所は5年生の夏