「私が建築関係の仕事をしているので、学習塾をしたいという友人から、適した不動産がないか相談されていました。当時、国有地の一般競争入札という案内の看板を見たのがきっかけです。ここがいいのではないかと相談し、入札して買いました」

 不動産登記には「極度額4000万円」とあり、Aさんが金融機関から借り入れていることがわかる。

「入札時点で、建物はかなり古い物件とされていました。リフォーム費用も必要だとして4千万円を借りたのかと思う。農水省から買ったのはそれよりも安い金額だったはずです。その後、友人の事情で学習塾の計画が白紙になり、知人を通じて旧統一教会に売却しました」

 農水省は、旧統一教会へ国有地が転売されたことについて、どう考えているのだろうか。

 担当者は、

「一般競争入札ですので、一般的には暴力団などでなければどなたでも参加できます。特に(転売禁止などの)条項もなかったと思います。今、旧統一教会の教会だ、と言われても……」

 との回答を繰り返した。

 Aさんに旧統一教会との関係などについて聞くと、「それを言う必要があるのか!」などと立腹し、明確な回答は避けた。

 ただ、2017年1月の「VISION2020」という旧統一教会のニュースレターにこんな内容の記事が出ていた。

「地区認定神氏族メシヤ家庭教会認定式」が同月に開かれ、Aさんと妻の名前も掲載され、Aさんは認定式の最後に「感無量であり、氏族復帰、地域発展に寄与していきます」などと抱負を述べた、と報じられている。

 一方、Aさんは経営していた建設会社の関係で、地元の業界団体の役員などに名を連ねている「名士」でもある。

 鹿児島県を地盤とする自民党の保岡宏武衆院議員とも親交があるのか、20年7月に事務所を訪問している写真が保岡議員のホームページに掲載されていた。

 宏武氏は保岡興治元法相(故人)を父に持ち、その秘書を18年務めて政界入りした。

自民党の保岡宏武衆院議員
自民党の保岡宏武衆院議員
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旧統一教会関連団体の会合に出席、ピースロードの顧問も