「なんだ、またオオシロさんですか」

 実は、お酒を飲み過ぎて地元の警察のお世話になったことが、それまでにも何度かあったのです。

 事情を説明すると、警察車両(自転車)が前に1台、後ろに1台ついてくれて、アパートの前まで護衛してくれることになりました。まるでアメリカ大統領付きのSPが付いてくれているような気分です。

 アパートの内付け階段の前まで来ると、警察官のひとりが合鍵で階段入り口のドアを開けてくれました。そして、階段の方に向けてぐーっと段ボール箱を傾けました。

「入って」

 こうすれば、全裸の僕の姿を通行人から隠すことができると警察官は考えたのだと思います。しかし、僕が考えたのはまったく別のことでした。

「すみませんけど、この状況を携帯で撮影してもらえませんか?」

 以前、「職務質問」というトークライブをやったことがあるので、ここで本物の警察官と写真を撮っておけば、「職務質問・第2弾」をやるときのチラシに使えると思ったのです。

「調子に乗るな!」

 ふたりの警察官から、むちゃくちゃ怒られてしまいました。