勝共連合は20代の容姿端麗な女性を国会議員の事務所に送り込んでいたという。写真はイメージ(PIXTA)
勝共連合は20代の容姿端麗な女性を国会議員の事務所に送り込んでいたという。写真はイメージ(PIXTA)

 安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親が多額の献金をしていたことで注目されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。その過程で、政治家と旧統一教会との関係にも耳目が集まっている。

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 旧統一教会の創始者・文鮮明は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合(通称、勝共連合)」を設立した。その時は日本が共産主義陣営と激しく対立した冷戦時代だったこともあり、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。これを足がかりに、勝共連合は旧統一教会の“別動隊”として政界への関わりを深めていく。

 元自民党本部情報局国際部主事で、福田赳夫元首相秘書だった中原義正氏はこう話す。

「私が自民党の中野四郎元国土庁長官の事務所で秘書を務めていた1970年代初期、20代の若い女性が突然、『何か、お手伝いすることはありませんか』と言って、議員会館の事務所にやって来ました。目がくりっとした愛くるしい容姿の女性でしたね。女性は『勝共連合の者です。岸信介先生にご指導いただいています』と言っていた。しばらく、事務所でコピーをしたり、お茶を入れたりする仕事をしていたけど、給料も出さず、タダで働いていました」

 同事務所だけではなく、他の自民党議員の事務所にも、同様に20代と思しき勝共連合の女性が出入りしていたという。

「当時、安倍晋三氏の祖父・岸信介元首相の渋谷の自宅の隣に旧統一教会の本部がありました。統一教会にとっては、そこが日本の政界進出の足掛かりでした。岸元首相の系譜を受け継いだ清和会の国会議員の事務所を中心に、勝共連合の女性たちが入り込んでいきました。当時、私は清和会所属の国会議員秘書たちのまとめ役をしていたから、他の議員事務所からも、『うちの事務所にも来た』という話をよく聞きましたよ」

 国会議員の事務所に押しかけて無償で雑事を請け負う20代の容姿端麗な女性たち――この“20代女性軍団”の狙いは何だったのか。

「事務所で気に入られて、議員の弱みを握り、情報を教団に上げる目的もあったのではないか。しかし、私の知る限りでは、色恋沙汰でおかしくなった国会議員がいるとは聞いたことがない。うちの事務所の女性は2日に1回のペースで来ていたけど、押しかけて来た人を正規に秘書として雇ったりはしないから、女性は自然と来なくなった」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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岸信介氏の周辺議員から入り込もうとした