「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載22回目の今回は、低学年の過ごし方についての相談です。

MENU ■低学年まではどんどん自然の中で遊ぶほうがいい ■学校の宿題をバカにしては絶対ダメ ■単なる先取り学習はリスクを伴う

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■低学年まではどんどん自然の中で遊ぶほうがいい

矢萩:学びを考えるうえで、遊びはとても大事です。だからといってただ遊んでいれば探究心が伸びるというわけでもないですし、本来目的がないのが「遊び」の特徴ですから、遊んでばかりだと心配になってしまいます。そこで、「その遊びが子どもにとってどういう経験になるのか」ということを大人がわかっているといいと思うんです。もちろん、それを子どもに言う必要はありません。子どもは楽しく遊んでいればいいんですけれど、今子どもがやってる遊びがどのような能力につながっていくのか、周りにいる大人が把握しておいたほうがいいですよね。

安浪:「遊び」といっても家の中で遊ぶのと外で遊ぶのも違いますしね。

矢萩:そうです。特に小学校低学年まではどんどん自然の中に出たほうがいい。なぜかというと、世の中のものを自然でできたものと人間が作ったもので二分するとしたら、家の中にあるものは全て人間が関わって作ったものじゃないですか。順番としては、まず自然があって人工なり文化なりがある。だから、人間がつくった環境や道具で人間の言葉を介して学ぶよりも、やはり自然の世界を先に体験し、学ぶほうが人間にとって自然なんです。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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