立候補を表明した岬麻紀氏と手を取り合う減税日本代表の河村たかし名古屋市長(中央)と、日本維新の会の杉本和巳衆院議員(右)=2019年6月
立候補を表明した岬麻紀氏と手を取り合う減税日本代表の河村たかし名古屋市長(中央)と、日本維新の会の杉本和巳衆院議員(右)=2019年6月

「また、大変な難題を抱えることになったな」とAERA dot.の記者の取材に、表情をゆがめたのは名古屋市の河村たかし市長。というのも、2019年7月の参院選で、河村氏が代表を務める地域政党の減税日本と日本維新の会が公認した岬麻紀氏(現衆院議員)が、そのときの選挙公報に、虚偽の経歴を記した公職選挙法違反の疑いがあるとして、東京都の男性から名古屋地検に刑事告発されたのだ。

【2019年参院選の岬麻紀氏の選挙公報はこちら】

 告発状の日付は5月1日。内容は、岬氏は19年7月の参院選で愛知選挙区から出馬し、公示後に愛知県選挙管理委員会が配布した選挙公報に、「プロフィール」として「亜細亜大学非常勤講師」との経歴を掲載させたが、同大学で非常勤講師を務めたことはなく、当選を得ようと虚偽の経歴を掲載した、というもの。

 岬氏は、19年の参院選では落選したが、昨年10月の衆院選では、日本維新の会の公認で愛知5区から出馬し、比例復活当選した。この時の選挙公報には、非常勤講師の経歴はなかった。

 選挙公報は、国政や都道府県知事の選挙の際に、自治体の選管が発行し、有権者に配布されることが公職選挙法によって定められている。候補者の氏名や所属政党、経歴などが掲載されている。

 19年の参院選で、愛知県選管が発行した選挙公報の岬氏の「プロフィール欄」には、生年月日や出身地などの後に、会社代表やフリーアナウンサー、亜細亜大学非常勤講師といった経歴が書かれている。このとき、減税日本の愛知県支部長も務めていた。

 AERA dot.では、岬氏が19年6月1日付で、減税日本に提出した経歴などが書かれた書面のコピーを入手した。

 パソコンで打たれた経歴が並ぶ中、最下段に手書きで、

<亜細亜大学非常勤講師>

と書かれている。

 それとともに、岬氏が残している手書きのメモには、亜細亜大学の非常勤講師の後に、

<2013、2015、2016>

 とあった。

 当時、岬氏を面接し、選挙公報の作成にかかわった、減税日本の党幹部はこう振り返る。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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大学の内部資料に非常勤講師の記録なし