私自身、若いときは自分を犠牲にして仕事をやってきました。「政治は男の仕事」だという空気のなか、「すべてを諦めたら政治をやってもいい」という呪文をかけられていた。そして私は、無邪気に全部諦めてきました。その結果、初婚は40歳、子どもを産んだのは50歳。若い女性にこんな思いをさせてはいけない、と思っています。

 そして、これは女性に限った話ではありませんが、仕事は自分の力の7分目、8分目ですればいいとも伝えています。自分の人生を豊かにするために仕事をするのであって、本末転倒になってしまってはおかしい。自分を犠牲にして仕事をしても、自分が安定しないから他人のことも思えないし、「自分はこんなに我慢しているのに」と考えるのも悲しいことじゃないですか。

──近年、女子大学に工学部や建築学部ができるなど、理系学部の新設が相次いでいます。こうした動きを含め、女子大学についてどう考えますか。

 私は小学校から高校まで女子校だったので、たとえば文化祭ではのこぎりをもって立て看板をつくったし、クッキーも焼きました。そこが共学だと「役割が」というふうになることもある。たとえば女性が工学部に入っても、実験は男子学生がやります、記録をとるのを女子学生がやります、という分業があることも多いと聞きます。男子学生にすれば「危ないから」と気を使っているのでしょうが、女子学生がそうやってチャンスを失っているなら、すべてが女子学生の中で完結する女子大学という環境もいいのかな、と思います。

 私が4年前に男女共同参画担当大臣を務めたとき、「企業は理系の女性を求めているが理系を志す女子学生が少なく、その状況を改善したい」という相談を受けました。それを受け、お茶の水女子大の学長(当時)とともに、工学部の設置に向けて取り組みました。2024年度にようやく共創工学部が新設されることになり、楽しみにしています。また奈良女子大ではすでに工学部が開設されました。こうした動きはすごくいいと思います。

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大学と「LGBTQ」