拓殖大の不破聖衣来
拓殖大の不破聖衣来

 すっかり正月の風物詩となっている箱根駅伝に代表されるように、近年の男子大学駅伝界は、ますますの盛り上がりを見せている。その一方で、これまであまり話題に上がらなかった女子大学駅伝界にも昨年、不破聖衣来(拓殖大)というニューヒロインが彗星の如く登場。大学2年生となった今年は、さらなる注目を集めること間違いなしだ。

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 2003年3月25日生まれ、群馬県高崎市出身の不破聖衣来。健大高崎高校時代は新型コロナウイルスの影響による大会中止や自らの故障もあって我慢の日々が続いたが、拓殖大に入学して迎えた2021年10月の『全日本大学女子駅伝』で5区9.2kmを走り、6人抜きで区間新記録をマーク。そして同年12月に自身初めて挑んだ10000mの記録会で、日本歴代2位(U20日本新記録、日本学生新記録)の30分45秒21を叩き出し、一気に注目を集めた。

 さらに『富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)』でも5区10.5kmで10人抜きを達成した上で、従来の区間記録を2分近くも縮める“異次元の走り”を披露した。今年に入って故障で3カ月の練習停止期間があった影響が心配されるが、今後は個人として10000mで5月の日本選手権、さらに7月の世界選手権への出場を目指しているが、駅伝への思い入れも強く、「拓殖大のエース」としての活躍も非常に楽しみだ。

 そして現在、チームとして大学女子駅伝界の覇権を握っているのが名城大だ。昨年、『全日本』と『富士山』の2大駅伝を圧倒的な強さで制して「4年連続の2冠」を達成したが、今年はさらに強力な陣容。10000mで世界陸上競技選手権の参加標準記録を破る31分22秒34の記録を持つエース・小林成美(4年)と山本有真(4年)、荒井優奈(4年)の最上級生トリオがチームを引っ張り、増渕祐香(3年)、谷本七星(2年)の主力も健在。ここに仙台育英高校時代に3種目で高校歴代10位以内の記録を残した次代のスター候補・米澤奈々香(1年)ら強力なルーキー6人が加わり、早くも「史上最強チーム」と評されている。1995年に女子駅伝部を創部した米田勝朗監督のもとで育んできた自主性もチームに根付いており、「5年連続2冠達成」へ死角はない。

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“絶対的王者”の名城大に対抗するのは?