リビウ駅の前の広場でボランティアからスープを受け取る、東部から避難してきた人たち
リビウ駅の前の広場でボランティアからスープを受け取る、東部から避難してきた人たち

 現時点で、受け入れ人数はそう増えてはいない。出入国在留管理庁によれば、ロシアの侵略により約382万がウクライナから避難している。うち、日本への避難民受け入れ数は、岸田首相が受け入れを表明した3月2日から3月29日までの間に325人。

 避難先として一番多いのは西隣のポーランドで227万人、次いでルーマニア59万人、モルドバ38万人、ハンガリー35万人、スロバキア27万人と続く。

 避難民の9割は女性と子供だという。ヨーロッパの国々はビザの発給を緩和し、受け入れやすくしている。

「今は、ヨーロッパでもアメリカでも日本でも、どこでも行ける。イギリスでもこれまではビザは簡単に出なかった。でも、今は住むことができる」(前出のウクライナ人女性)

 日本行きを希望した場合、どのようなルートで来日し、日本に滞在できるようになるのだろうか。

「ウクライナの日本大使館は閉鎖をしているので、隣国の日本大使館まで行って査証を申請していただくしか、現時点では方法はありません」(出入国在留管理庁出入国管理課)

 ポーランドなどの現地の日本大使館で発給されるビザは「短期滞在」。日本での滞在は90日間だ。その期間のうちに、1年間の就労が可能となる「特定活動」に在留資格を切り替える。

 現状では日本の受け入れが325人に留まっていることについて、前出の出入国在留管理庁出入国管理課ではこう説明する。

「手続き的には高度なものを求めているわけではないので、ご本人が申請していただければ基本的にはビザは発給されているものと承知しています」(担当者)

 そもそも日本行きの希望者が少ないということだろうか。

「陸続きではないし、遠いということも関係するのかなと私的には思います。日本と文化もかなり違うので、希望者が増えるかはわからない。急速に増える可能性もゼロではない。何とも、見通しを申し上げるのは難しい」(同前)

 前出のウクライナ人女性が事情を説明する。

「今はウクライナ現地の日本大使館はやっていない。とりあえず、ポーランドなどの日本大使館まで行き、ビザを申請しないといけません。そこでビザが出るのを待たなければならない煩わしさもあるし、日本行きの航空チケット代は高いのです」

 日本への来日の方法としては、従来からある留学というルートもある。留学ビザを取得するためには、受け入れる日本側の大学や日本語学校への入学が必要だ。ウクライナやロシアからの留学生の来日を支援している30歳前後のロシア人女性は、明かす。

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