パリのカフェにて(2016、17年ごろ)
パリのカフェにて(2016、17年ごろ)

 夫・ひろゆきとのちょっとおかしな生活をつづり話題となったコミックエッセイ『だんな様はひろゆき』(原作・西村ゆか、作画・wako)。“宇宙人”さながらの夫とのユーモアのある日常や、暮らしでの折り合いのつけ方が大きな話題となり、3万部(電子版含む)を突破した。日々、共存方法を模索する妻ゆかさんに、価値観の違う夫婦が仲良く共存する方法について特別エッセイを寄稿してもらった。今回のテーマは「論破王な夫を論破(?)する方法」。

【マンガ】家でのひろゆきさんと、ゆかさんの様子はこちら

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 夫婦やパートナー間での論破は基本的に反対、というスタンスの私ですが、共同生活をする中で「ここだけは譲れない」「自分の意志を通したい」という場面に出くわすこともあるでしょう。そんな時、どうすればなるべく有利に物事を運べるのか?

 通称「論破王」を身近で観察してきた中で気づいたポイントを、シェアしてみようと思います。

■ソファ戦争

 我が家では随分長いこと、ソファベッドをベッドにした状態でひろゆきくんが斜めに寝転がり、その周りをノートパソコンやスマホ、ゲーム機器、ケーブル類が埋め尽くし、わずかに空いたスペースに私が座るという生活が続いていました。

 快適そうに過ごす彼を(やや恨めしそうに)眺め、「私もソファにゆったり足を伸ばして座ってみたい……」と考えていました。

すみっこに追いやられるゆかさん(『だんな様はひろゆき』より)
すみっこに追いやられるゆかさん(『だんな様はひろゆき』より)

 フランスへ移住後も、しばらくは家具付きのアパートに住んでいたため、ソファを占領される日々が続いたのですが、3年程前に家具無しのアパートに引っ越したタイミングで、ついに自分達でソファを買う必要が出てきました。大袈裟と言われるかもしれませんが、私はこう思ったのです。

「このチャンス、絶対に逃してはならない……!」と。

■相手を観察せよ

 私たちは18年ほど一緒に住んでいます。今でこそ大きな揉め事はないものの、元々お互い気が強くて意見をなかなか曲げない者同士なので、最初の頃はまぁしょっちゅう喧嘩をしていました。喧嘩の細かい内容は忘れてしまいましたが、そんな2人なのでどちらが悪いというよりは、客観的に見て「お互い様だよね」ということが多かったと思うのですが、口達者な彼に言い負かされて思わず感情的になったり、そこをさらにたたみかけられ、キレたり泣き出したりということもありました。

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交渉を有利に進めるなら、感情ではなくファクトで話す