夢の部分ばかり語ってしまいましたが、厳しい現実があるのも事実です。皆さんがご存じのヒカキンさんは、素晴らしいYouTuberです。彼は、プライベートも含めて全てをYouTubeにささげています。同じような努力や継続をしようとしても、多くの人は心が折れてしまいます。サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドさんは、食生活や睡眠などの全てをサッカーにささげています。ベストなプレイをするために、自分を律し、制限された生活を送っているのです。ヒカキンさんもアスリートと同じレベルの努力と忍耐をしていると言えます。YouTuberの仕事は、想像よりもずっと激務です。動画を制作するとわかるのですが、とても「カロリーの高い作業」です。インスタグラムやTikTokやブログのコンテンツよりも、はるかに手間と時間のコストがかかります。これを継続的し続ける大変さがあります。

 また、多くのチャンネルや動画が存在する中で、自分の制作したコンテンツを見てもらうには工夫が必要です。他の人気のチャンネルや動画を調べ、再生される要素を見つけて取り入れる、この検証はずっと続けなければなりません。この研究の大変さがあります。さらに自分が作りたいものではなく、視聴者が見たいものを作るストレスがあります。YouTuberは「好きなことをして生きていく」仕事ですが、これはあくまでも「”視聴者の”好きなこと」です。自分勝手に好きな動画を撮って暮らせるワケではありません。見ている人を楽しませるために行動するので、この意味では自由がない仕事です。数字と向き合い続けることや年齢の壁、誹謗中傷など多くのストレスに晒されます。ある程度、人気が出たYouTuberが休養を求めるのも、このストレスで限界がくるからです。

 それでも、YouTubeで成功すると得られるものは大きいです。それは、収益だけではありません。ヒットを継続して出すためには、運ではなく戦略が必要になります。ラッキーヒットを打っても、ヒットの理由を掴めなかったチャンネルは、1年程度で失速します。継続的に人気でいるためには、数字の分析やマーケティングやコンテンツ制作、動画編集やディレクション、デザインなど制作過程で様々な能力や技術を得ることになります。これらは、他の業界でも役に立ちます。このような技術を得たYouTuberがオワコンになるのは、皆さんが考えるよりもずっと先なのかもしれません。

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なーちゃん

なーちゃん

なーちゃん/二児のママ兼YouTuber。2014年にチャンネルを開設。長男・こうちゃんと出演する動画は子どもから親まで幅広い層から人気を集め、”ファミリー系YouTuber”としてカリスマ的存在に。登録者数209万人、総再生回数13億回(2019年10月時点)を誇る。

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