「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載11回目の今回は、息子の中学受験を終え、「結果が受け止めきれない」というお母さんのご相談です。
* * *
■親が引きずるのは仕方がない、でも子どもにぶつけないで
安浪:お母さんの気持ち、非常によくわかります。毎年、この時期はこのようなお母さんの声を聞くたびに胸が張り裂けそうな思いです。
矢萩:うん。これはつらいですよね。でもね、そもそもお母さんが納得しようがしまいが現実は変わらないんです。そこは冷静に考えて、ポジティブに考えていくしかないですよ。
安浪:私はいつも、親が引きずるのは仕方がない。でも、子どもにぶつけないでください、とお話しています。子どもはもう前を向いているんですから。もし子どもが引きずっていたら、お母さんは大女優になって、子どもには前向きな言葉をかけてあげて欲しい。影でいくらでも泣いていいですから。
矢萩:質問者さんの相談を見て思ったのですが、過去にやってきたことにすごく後悔をしていますよね。今そんなことはないですよ、と言ったところで考えは変わらないと思うので、改めて言いたい。過去も、現在の状況も変えられない。変えることができるのは、未来だけです。だったら未来を変えましょうよ、って。僕は中学受験を機に不登校になってしまった子と何人も向き合ってきているのですが、そこで感じるのは、挫折してるのは親だっていうこと。子ども自身が本当に挫折して立ち直れない、なんてケースはほぼ見たことがない。親がいつまでも引きずってそれを子どもにぶつけるんですよ。そして本来は大丈夫だった子がだんだん挫折していくんです。