20年2月、新型コロナウイルスに関する記者会見に臨む厚生労働省の迫井正深審議官(左、肩書きは当時)
20年2月、新型コロナウイルスに関する記者会見に臨む厚生労働省の迫井正深審議官(左、肩書きは当時)

 1月11日に開催された同じく非公式の会議では、迫井コロナ室長と尾身会長ら専門家と提言内容について決めていく内容がある。濃厚接触者の隔離期間についてこんなやり取りがなされていた。

尾身「陽性者、濃厚接触者について、隔離期間を、検査をうまく行うことで、変えられないか。現場で求められている。ある程度根拠となる知見を踏まえ、提案したいことを作った。オプションについては、濃厚接触者と検査陽性者、医療関係者と一般人に場合を分けている」

コロナ室長「濃厚接触者を医療従事者に絞るのは困る。例えば受験生。飛行機に乗れない人をどうするか、など。一般人全部ではなく、特別な状況にある人についても考慮してほしい。例えば、濃厚接触者に該当しても、検査3日連続陰性なら乗れる、など」

尾身「承知した」

 厚労省関係者はこういう。

「岸田政権では、厚労省がコロナ対策を取り仕切っている。その中心を担っているのが、厚労省医系技官の迫井コロナ室長や、厚労省医系技官出身である尾身氏、さらに前コロナ室長の吉田学厚労次官、大坪寛子審議官ら厚労省とその医系技官グループです。非公式の会議で、科学的な判断ではなく、内輪の論理でコロナ対策を決めている。山際新型コロナ対策担当大臣には全て事後報告で、その報告も専門家が自ら考えて決めたことになっている」

 現在、専門家の間では4日に公表する予定の新たな提言も用意されていた。AERAdot.ではその原案となるペーパーも入手した。尾身氏、押谷氏ら4人が構成メンバーとして名前が記されている。「基本的な感染防止策を徹底すること」、「不織布マスクを適切に着用すること」といった提言が書かれているが、そのワードファイルの作成者には、コロナ室職員の名前があった。

「専門家が準備している提言も、主導しているのは厚労省医系技官出身の内閣官房コロナ室職員です。医系技官らが尾身会長ら専門家を活用してアドバルーンを上げさせたり(情報を流し、世間の反応を見ること)、発言をさせたりして、厚労省寄りの政策へ世論を誘導している。こうしたあり方がコロナ対策の失敗につながっている」(厚労省関係者)

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濃厚接触者の自宅待機期間14日→10日→7日のドタバタ劇