ラトゥ・ウィリアム志南利さん
ラトゥ・ウィリアム志南利さん

 南太平洋のトンガ諸島で発生した海底火山の大噴火。現地当局などの観測によると、日本時間の15日午後1時頃、フンガトンガ・フンガハアパイ火山で噴火が発生し、火山から約65キロ離れたトンガの首都ヌクアロファのあるトンガタプ島でも、降灰や津波などの影響があったとみられている。日本にいるトンガ出身で元ラグビー日本代表のシナリ・ラトゥさん(56歳、日本に帰化した現在はラトゥ・ウィリアム志南利さん)は、15日の噴火発生直後に現地の親族と連絡を取っていた。その時の状況をAERA dot.に明かしてくれた。

【写真】「黒い雨が降ってきた」 トンガの親族からラトゥさんに届いた噴火直後の写真

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「毎日、妻がインターネットでトンガのラジオを聞いているんですよ。15日の昼に突然、避難指示が流れてきたんです。『海の近くにいる人は逃げてください』と政府から指示が出て、これは大変なことが起きたと思ったんです」(ラトゥさん、以下同)

 ラジオから流れる避難警報を聞いて、ラトゥさんはすぐにトンガにいる親族とフェイスブックを通じて連絡とっていた。噴火直後の様子を親族はこう話していたという。

「すごく大きな音が聞こえた後に、『黒い雨が降ってきた』と言っていました。黒い小さな石のようです」

親族から送られてきた噴火後の写真。噴石とみられる黒い石(ラトゥ・ウィリアム志南利さん提供)
親族から送られてきた噴火後の写真。噴石とみられる黒い石(ラトゥ・ウィリアム志南利さん提供)
親族から送られてきた噴火後の写真。黒く覆われた空(ラトゥ・ウィリアム志南利さん提供)
親族から送られてきた噴火後の写真。黒く覆われた空(ラトゥ・ウィリアム志南利さん提供)

 親族がその時の様子を撮影した写真をラトゥさんに送っていた。写真にはトンガ時間で午後6時過ぎ、噴火にともない黒い煙が空を覆い、辺り一面が暗くなった様子が写し出されていた。また、津波警報を聞いた人が避難しようと車が渋滞していた様子が遅れて届いた。その後、津波が沿岸部に押し寄せている状況の写真などがインターネット上で飛び交ったという。 

 そして、15日14時半ごろ、現地との通信が途絶えた。18日現在も連絡が取れない状況が続いており、噴火後に起きた津波の影響を心配している。

「私の親族は海から離れた高台に住んでいるので、津波からは逃れられたと思うんですが、沿岸部はどうなっているのかわかりません。トンガでは、地震とか大きな災害がこれまでなかったんです。だから、みんなパニックなっていると聞きました」

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こんな大規模な災害は「経験したことがない」