ハケット氏にその意識はないかもしれないが、日本国内で人種差別に対して神経質になるのは致し方ないだろう。8月中旬にセルティックの宿敵・レンジャーズのサポーターが移動中のバス車内でアジア人に対する蔑視を意味するジェスチャーを披露。さらに「フルハシは俺の犬を食った!」とチャントを合唱した。英紙・Scottish Sunは、「レンジャーズ・ファンによるフルハシへの卑劣なチャントは、あまりに不快だ」と批判するなど各メディアに大々的に報じられ、セルティック側は「このようなおぞましく最低な人種差別的な行為は厳しく非難されることに値する」と声明を発表。レンジャーズ側は「このような愚行を行った人間たちは、我々のクラブにとって必要な存在でも、熱心なサポーターでも何でもない」と調査に動いた。

 プレー中でも物議を醸す審判の判定があった。イングランド1部・アーセナルのDF冨安健洋が出場した今月6日のエバートン戦で手DFベン・ゴッドフリーに顔面を足裏で踏まれて出血。しかし、最終的にゴッドフリーへのカードは提示されなかった。

「故意であろうとなかろうと危険すぎる。レッドカードのプレーなのに、カードすら出ないことがあり得ない。黒人に対する差別解消が声高に叫ばれていますが、アジアの人間に対しても首をかしげるようなレフェリーの判定が散見される。差別意識はないのかもしれませんが、こういうジャッジが続くと不信感が募ります」(スポーツ紙サッカー担当記者)

 古橋や富安など欧州のリーグで奮闘している選手たちが、理不尽な思いをしない環境でプレーできることを願うばかりだ。(牧忠則)