同院を受診した40代の女性は、近隣の医療機関で咳ぜんそくと診断され、ぜんそくの治療薬である吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を服用していた。しかし症状が改善しなかったため、田中医師が詳しく検査をしたところ、呼吸機能検査では、ぜんそくは認められなかった。

「その患者さんは喘鳴を訴えていましたが、ぜんそくで気管支が狭くなった結果起きる喘鳴ではなく、アレルギー性鼻炎に伴う咽頭炎による症状でした。ぜんそくの治療薬はやめ、点鼻薬と抗アレルギー薬を服用してもらったところ、改善しました。咳ぜんそくやぜんそくは、ぜんそくの治療薬を1~2週間服用すれば改善します。その期間で改善しなければ、ほかの病気の可能性が考えられます」(田中医師)

 そもそもぜんそくや咳ぜんそくの多くはアレルギーが素因になるので、アレルギー性鼻炎との合併も多い。ぜんそくは確定診断の方法がなく、診断が難しいのが現状だ。

「ぜんそく発作をどの程度繰り返しているのかといった病歴や呼吸機能を調べる検査、気管支の炎症の有無を調べる検査など、総合的に調べて診断します」(同)

 咳は誰もが経験する、よくある症状なので、特に大人の場合は、受診につながりにくい。

「咳が3週間以上続く場合や、市販の咳止め薬で症状がおさまっても薬をやめるとまた症状が出てくる場合は、呼吸器内科の専門医を受診するといいでしょう」(同)

(中寺暁子)

週刊朝日  2021年12月10日号