北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

 週末、女性たちの集まりの会で話す機会があった。今年は平塚らいてうの没後50周年で、「青鞜」発刊から110年の記念の年である。平塚らいてうがどのような人生を送ったのか、その遺志は今の時代にどのように引き継がれているのかを会では語り合った。会を支えている多くは70代以上の女性たちだ。なかには晩年のらいてうに会ったことがあるという人もいた。らいてうと共に婦人参政権運動のために立ち上がった市川房枝との思い出を語る人もいた。

 らいてうは元祖わきまえない女、でもある。父親の決めた男と結婚するのが当たり前の時代に恋愛を貫き、事実婚を貫き、夫の戸籍に入らず子を産んだ。らいてうへのバッシングは相当なものだった。あることないことメディアで書かれる日々、道を歩けばツバを吐かれるようなこともあった。「後ろを振り向けば死が大きな手を広げて待っている」という言葉をらいてうは残しているが、それは今、SNSで「わきまえない女」であるがゆえにたたかれる女性たちには他人事ではない痛みだろう。そういうなか、らいてうは自分の信念を強く握りしめ、前を歩き続けた。

 たたかれ続けるわきまえない女たち。その女性の人生を引き継ぐのも女性たちである。「平塚らいてうの会」のづどいに出席し、女性の人生を語り継いでいこうとする女性たちの思いに触れられた時間だった。

 政治というマッチョな世界に、おばさんを。独善的で上から目線で偉そうですぐに切れるオジサン政治からの脱却のためにも、立憲には頑張ってほしい。

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北原みのり

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