若狭勝弁護士
若狭勝弁護士

 だが、それだと失職しない。木下氏は4カ月ぶりに登庁した9日、記者団に対して「ぜひ続けて欲しい、また力を貸して欲しいというお声があることも事実であります」と辞職しない意向を示した。

◆議会出席の要請を断り、”逃亡”
 しかし、AERAdot.で11月18日配信したとおり、木下氏の選挙区を歩いてみると、ポスターはがされ、「続けてほしい」どころか「ろくでもない」「応援して恥ずかしい」と酷評のオンパレードだった。

 都議会から2度の辞職勧告決議を受けてもなお、都議職に未練たっぷりの木下氏。自宅には帰らず、ホテル暮らしなどをして”逃亡”し続けた。

 11月18日に議会運営委員会に出席を求められ、自民、都民ファースト、公明、共産、立憲民主の5会派が各10分ずつ、事情を聞く予定だったが、前日になってメールで「体調が再悪化した」と議会局に知らせてきて欠席。議運委は改めて24日に要請した。「メールと書面を郵送しました。返事はまだありません」(議会局の担当者)。

 若狭氏は今後の展開をこうみている。

「議運委は重要な委員会で、議会を円滑に運営するために検討し、方針を決めるところです。そこに呼び出されているにもかかわらず、次も出てこないということになると相当強い立場で望まざるを得なくなるのでは。おそらく、議長があと一度くらい召喚状を出すでしょうが、除名の手続きへと向かう可能性もある」

 議員定数の3分の2以上が出席した本会議で、4分の3以上が賛成すると、議員の身分を失わせる「除名」となる。そうなる前に、木下氏は行動しなければならないと、若狭氏は言う。

「在宅起訴が辞職のいいタイミングだと思います。木下さんは性格的にもそんなに悪い感じではないし、いろいろと人のことを思いやれる人。過去、辞職して再起した議員はたくさんいるので、もう一度、挽回してがんばるためには除名なんかされない方がいい。『これ以上、都民あるいは都議会に迷惑をかけることはできません』と言って辞めるのが一番いい形と思いますね」

 若狭氏によれば、「4年前、木下氏が初当選してからは付き合いはなく、今年7月の都議選でも応援はしていない」という。

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都議会で除名処分も検討