北原みのりさん
北原みのりさん

 私が一番恐れているのは、自分たちの人生、自由、権利を求める女性たちの声を「うっとうしい」と思うような、フェミ嫌いの社会の空気が維新の票に反映された面もあるのではないかということだ。実際、SNSなどを見ていると女性嫌悪に満ちた書き込みにあふれている。女性候補者が少なくてもさして大きな問題にならず、わずかな女性候補者を年齢や容姿で嘲笑するような声もある。フェミ的な声、ジェンダー平等を求める声があがればあがるほど、そのことへの反発、バックラッシュも強くなっているのかもしれない。

 いずれにせよ、今回の選挙がどんな意味を持つのか、ジェンダー平等政策にどのような影響を与えていくのか、注視していかなければいけない。

 この国は、ジェンダー平等を選ばなかった。加藤陽子氏の「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」ではないが、「それでも、日本人は『性差別』を選んだ」という選挙だった。

 希望は、維新が圧勝した大阪から、職員に檄を飛ばす橋下徹府知事(当時)に「どれだけサービス残業やってると思ってるんですか!?」と立ち上がった大阪府元職員でれいわ新選組の大石晃子さんが当選したこと。諦めなくていいのだと思えることは、数少ない希望でもある。

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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