甘利明氏(写真/上田耕司)
甘利明氏(写真/上田耕司)

 自民党の甘利明幹事長は自身の出馬する神奈川13区で「落選危機」などと報じられ、幹事長としての全国行脚がストップ。選挙終盤の10月28日から最終日までの3日連続で地元に朝からベタばりして、駅頭や公園などをまわっていた。

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 この13区では野党共闘により、共産党が候補者の擁立を公示日直前に取り下げ、立憲民主党新人の太栄志(ふとり・ひでし)氏に一本化。甘利氏と太氏の一騎討ちとなっている。

 選挙序盤の21日には、甘利氏は余裕しゃくしゃくでこうツイートをしていたものだった。

「本日は地元選挙区での決起大会でした。選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます」(10月21日)

 もう地元には戻らないつもりだったらしい。確かに愛知県、青森県、東京都など各地の応援に連日まわったが、今ではそんな余裕は消し飛んでしまったかのようだ。

 29日午後3時半過ぎ、甘利氏の「街頭演説会」が行われる綾瀬市のスーパー前の駐車場で待っていると、選挙カーからこんなアナウンスが聞こえてきた。

「甘利明本人は地元に戻ってまいりました。このあと、みなさまの前で直接、ご挨拶させていただきます」

選挙カーから演説する甘利明氏(写真/上田耕司)
選挙カーから演説する甘利明氏(写真/上田耕司)

 駐車場には200人くらいの市民が集まっていた。甘利氏が選挙カーから下りてくると、拍手が起こる。甘利氏は「コスパの悪い備品」だったはずのタスキをかけ、白い手袋をし、選挙カーに乗って演説した。綾瀬市内だけで3カ所を回ったという。

 演説後、甘利氏に「公明党の票が伸び悩んでいると聞きますがいかがですか?」とたずねたが、何も答えず、聴衆とのグータッチや写真撮影をするばかり。

 その当日夜、海老名駅前でも、街頭演説に立った甘利氏。演説後、報道陣の囲み取材があった。選挙情勢を問われると、

「非常に厳しい戦いで、とにかく誹謗中傷の中で戦っているわけですから。私自身、全力を出して戦っていくだけです」

 と甘利氏。追い上げる太候補の“伸び”についてどう受け止めているかという質問には「どういう伸び方かというのは後で分析をしていただきたいと思います」とかわし、質問は2問だけで囲み取材を打ち切り、歩き始めた。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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