岸田文雄首相 (c)朝日新聞社
岸田文雄首相 (c)朝日新聞社

 新たに発足した岸田文雄首相はお隣の韓国でも注目を集めている。元徴用工訴訟、慰安婦問題、レーダー照射、竹島の領有権を巡る問題など、日韓政府の主張が対立して近年は関係が大幅に悪化。岸田首相が就任したことで、両国の関係が改善するかは韓国国内でも大きな懸案事項となっている。

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「日本が2019年に韓国向けの半導体素材の輸出管理を強化すると公表した。『両国にとってメリットがない』と韓国国内で批判の声が高まりましたが、韓国経済が受けるダメージの方がはるかに大きい。韓国側は対象品目の国産化など『脱日本』をアピールしていますが、日本の半導体素材の品質は非常に優れている。日韓関係を修復して輸出管理の強化を解除してほしいのが本音だと思います」(テレビ局政治部記者)

  韓国メディアは岸田首相の動向に敏感になっている。ハンギョレ新聞は11日付けのコラムで、「岸田文雄首相が4日に就任してから1週間が経ったにもかかわらず、韓日首脳の初の電話会談が実現していない。米国やオーストラリア、インドなど『基本的価値』を共有する友好国を始め、中国やロシアなど緊張の中で関係を管理していかなければならない主要国を優先し、韓国は後回しにした格好だ」と指摘。

「日本の冷ややかな態度は8日、岸田首相の初の所信表明演説でも確認できる」とした上で、「注目すべきは、今年1月に行われた菅前首相の施政方針演説には『現在、両国関係は非常に厳しい状況にある』という文言があったが、今回の演説では抜けている点だ。日本が現在のような冷え切った関係を韓日関係の『ニューノーマル(新しい均衡)』とみなしているのではないかと推定できる部分だ」と論じている。

 岸田首相と韓国の文在寅大統領との電話会談がようやく実現したのは15日だ。

 35分間の電話会談で首相は、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工をめぐる問題で、解決に向けた前向きな対応を要求。文大統領は「(双方の)法的解釈が異なる問題だ」と言い、議論は平行線をたどった。

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