この記事の写真をすべて見る 衆院は臨時国会会期末の10月14日に解散された。岸田文雄総理は続く臨時閣議で「19日公示―31日投開票」の日程で第49回衆院選を行うことを決定。与野党は選挙に突入した。
前回の安倍政権での2017年の衆院選は、自公の連立与党で定数の3分の2以上の議席を確保し、圧勝。それから約4年、就任してまだ10日ほどの岸田総理は、早くも正念場を迎える。
自民党の高市早苗政調会長は12日、衆院選の政権公約を発表し、「新しい時代を皆さんとともに。」をキャッチフレーズに、岸田総理が掲げる「新しい資本主義」などを訴えた。ただ、「国の使命は、国家の主権と名誉を守り抜くこと」というフレーズが採用されるなど、岸田総理より高市政調会長のカラーが色濃い内容だった。
官邸や自民党内でいま、話題になっているのが、総裁選の際に議論された「政高党低」ではなく、「党高政低」だ。安倍、菅政権では官邸の力が強く、党は軽視されがちだったが、岸田総理になってすっかり様変わりしたようだ。
「安全保障政策にせよ、経済政策にせよ、政権公約における岸田カラーは完全に失せて、まさに高市・安倍政権の公約です。宏池会らしさは消え失せましたね。目玉であった、成長・分配の好循環にしても、『分配なくして成長なし』が『成長なくして分配なし』に変質してしまいました。『新しい資本主義実現会議』の設置により、岸田カラーを打ち出そうと懸命に動いていますが、これとて骨抜きになりかねません。政策は高市・安倍路線、人事は甘利・麻生路線となり、総理は支配されている感が既に強く、いずれ、官邸と党とで空中分解が起きると思います」(政府関係者)
閣僚経験者は「党高政低」に変わった背景には、安倍元総理、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長の3Aと大きく関係があると指摘する。
「岸田総理が政高党高にしたいと思うならば、岸田派で重要閣僚と党の主要ポストをとらなければならなかった」