現在、医師の投稿は削除されており、学校にもホームページで事実関係を公表して以降、抗議の電話は来なくなったという。一方で、学校が何かを隠しているのではといぶかる声もあり、一度出回ったデマは簡単には消せないのが現実だ。

「(デマによる)業務妨害ではないのかという趣旨のご意見も複数いただきましたが、教育の仕事をしていくことが学校の本来のあり方ですので、現在のところ、ホームページで公表したことで対応のすべてとさせていただいております」

 この担当者は最後まで努めて冷静に回答したが、別の学校関係者は、

「一方的に迷惑をかけておいて、お詫びのひと言すらないのは信じられないことです」と憤る。

 この医師に見解を聞こうとクリニックに電話したが、「こちらの窓口では医師への取材申し込みには対応できません」との回答だった。

 ワクチンを打つか打たないかはそれぞれの選択であり、賛成、あるいは反対の論陣を張るのも自由だ。だが、デマによって無用な混乱をまねくことは許されない。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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