写真はイメージです(Getty Images)
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 サントリーホールディングスの新浪剛史社長が発言した「45歳定年制」が、ビジネスパーソンの注目を集めている。キャリアの曲がり角に差し掛かった時期に身の振り方をどうするか。勤め人ならば一度は頭をよぎったことがあるだろう。新浪社長はのちに、「定年という言葉を使ったのはまずかったかもしれない」と釈明したが、経済界では今、45歳を待たずに人材の新陳代謝を高める動きが起きている。

【表】あの企業でもこんなにたくさん…希望・早期退職を募った主な企業

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 東京商工リサーチによると、8月末時点で、2021年に早期・希望退職者を募っている上場企業は64社、1万1215人だった。報道では、8月上旬にホンダが2000人以上、9月末にパナソニックが1000人以上の早期退職を出ると報じられたが、今回の集計にはまだ反映されていない。そのため、合わせれば9月末時点で1万4000人超に上る。

 東京商工リサーチ情報本部情報部の二木章吉さんは解説する。

 「2009年(76社/10244人)、2010年(41社/7202人)のリーマン・ショック以降、8月末時点では2021年が3番目の規模になります。昨年2020年は57社で1万754人なので、昨年に比べて若干多いです」(東京商工リサーチ)

 特に多いのは、「日本たばこ産業」で、社員1000人規模のほか、パートタイマーや工場の従業員、シニア社員を含め、2022年3月までに2950人規模の早期・希望退職者を募集している。他にも、「KNT-CTホールディングス」が応募者数1376人、「LIXIL」が募集人数1200人、「オリンパス」が募集人数950人といった大型募集を行っている。 

 今年は、新型コロナウイルスによる業績悪化が背景にあるのだろうか。

「募集規模の大きい会社の中で新型コロナの影響を受けているのは、観光業で、近畿日本ツーリストを運営している『KNT-CTホールディングス』です。昨年と今年は、旅行会社と外食、アパレルが主に新型コロナの影響を受けていますが、1社当たりの募集人数は、製造業に比べて労働者数が少ない傾向があるため、募集人数の規模で見ると大きくありません。ただ、コロナの影響を受けた小規模な募集は多いです」(同)

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入社2年目以降は全員が対象になる上場企業も…