阪神の“お膝元”尼崎でアメフトが根付く日は来るのか…(筆者撮影/山岡則夫)
阪神の“お膝元”尼崎でアメフトが根付く日は来るのか…(筆者撮影/山岡則夫)

『アマ(=尼崎)』には野球とアメフトがある。

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 Xリーグ所属アサヒ飲料クラブチャレンジャーズの本拠地は兵庫県尼崎市。日本一の人気野球チームのお膝元で地道に地域密着活動を進めている。現時点では比較すらおこがましい立場だが、いつの日か阪神タイガースとともに『アマ』のチームとして認知される日を目指している。

「阪神さんは雲の上の存在。競技としても野球の方がアメフトより歴史、知名度、ビジネス面などすべて上です。でも今後は少しずつ追いついて行こうと思っている。『アマ』といえば阪神さんとチャレンジャーズと言われるようになりたい」(チャレンジャーズ岸上克彦オーナー/アサヒグループホールディングス株式会社・日本統括本部・顧問)

 兵庫県尼崎市は阪神タイガースの町と言っても過言ではない。本拠地・甲子園球場の最寄り駅までは、阪神尼崎駅から特急電車で1駅(各駅停車でも5駅)の距離。尼崎三丁目商店街はプロ野球開幕に合わせ、日本一早い優勝マジックがともる場所としても有名だ。町中至る場所で黄色と黒色を見かけ、試合日ともなれば縦縞のユニフォームに身を包んだ虎党たちが闊歩する。

「注目度は阪神さんと比較にならない。しかしチャレンジャーズの存在意義は劣っていないと信じている。アメフトはおもしろくて激しい競技なので、接するだけで熱い気持ちになり勝てば笑顔になれる。非日常の世界に我々を導いてくれるパワーがある。コロナ禍で何かと重苦しい雰囲気のの昨今、スポーツを通じて地域と共生して行くことが重要。チャレンジャーズを通じて尼崎の人が何か感じてくれれば存在価値はある。もちろんアサヒ飲料のチームという側面で考えても社員のモチベーションアップにつながる」(岸上オーナー/アサヒグループホールディングス株式会社・日本統括本部・顧問)

 昨年10月23日、チャレンジャーズは尼崎市と包括連携協定を締結した。幅広い分野で協力し地域活性化、市民サービス向上を目指すための提携であり、実質的に本拠地として活動することとなった。市として包括連携協定を結ぶのは、コープと日本郵便に次ぐ3番目ということで一部では話題になった。しかし同5月21日に阪神球団と2軍本拠地移転の基本協定書を結んだことの方が、世間的には大きく扱われた。球団創立90周年となる25年からの移転を目指すということで、市民の注目はそちらに注がれている。

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チームソングが「六甲おろし」のような存在になるか