左から河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行(C)朝日新聞社
左から河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行(C)朝日新聞社

「2番手に入れそうなので、高市さんをよろしく、とすごい勢いでした」

【写真】霞が関の官僚が最も警戒する総理候補はこの人

 こう話すのは、自民党の無派閥の国会議員だ。見せてくれたスマートフォンの着信履歴のディスプレイには「安倍総理」と表示がある。

 自民党総裁選で高市早苗前総務相の支援を表明している安倍晋三前総理。連日のように、携帯電話を片手に自民党の若手議員や地方の自民党支部関係者に高市氏に「一票を」と自ら呼びかけているという。

「安倍氏とは随分前に携帯電話で話したことがありました。その時に番号を登録したのだと思います。安倍氏から着信があった時、ミスタッチの間違い電話かと思いましたよ。それが高市氏の支援をと言われて、びっくりでした。他の若手議員に聞くと、何人か安倍氏から直接、電話があったそうです。アベノミスクの次は、アベノフォンかと評判です」(前出の国会議員)

 安倍氏の高市氏推しに拍車がかかってきたのは、世論調査の数字やSNSなどの情報で高市氏の支持が急上昇してからだという。自民党総裁選は党員票では、河野太郎ワクチン担当相がリード、岸田文雄元政調会長が追いかけ、高市氏は3番手だという予想が大半だった。

 しかし、安全保障政策では敵基地攻撃にまで踏み込む発言をし、選択的夫婦別姓は反対、と他の3人の候補と違いを鮮明にした高市氏の存在感が増している。自民党で20年以上、政務調査会の調査役を務めた政治評論家の田村重信氏が党内情勢をこう分析する。

◆高市氏と河野氏の決選投票も?

「高市氏と他の3人との違いは、歯切れの良さと安倍氏のバックだね。高市氏は安倍氏の支援がなければ総裁選出馬も難しかった。高市氏は安倍政治の継承を打ち出し、安倍氏もそれに応え、後ろ盾になって、ますます勢いづいている。4人の候補で一番、運動量が多いのが高市氏ですよ。それが党員、議員にも響いている。安倍氏の電話攻勢の効果も高市氏が党員票を伸ばしている要因だ。党内でも『岸田氏はやばい、高市氏が2位になるんじゃないか』『河野氏と高市氏の決戦投票になったら、どうしよう』などという議員の声も聞こえてきます」

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