総裁選へ出馬予定の野田聖子幹事長代行(C)朝日新聞社
総裁選へ出馬予定の野田聖子幹事長代行(C)朝日新聞社

 一方で、高市氏の支持にも一部が回ればいいという意見もあるという。

「つまり、全方位外交ですよ。そこへ野田氏の推薦人確保があと数人というところまでになったという話が届いた。野田氏を幹事長代行に抜擢していたのは二階氏で、ずっと相談に乗ってきた関係上、出馬は大歓迎です。おそらく推薦人を出すのではないか」(同前)

 さらに竹下派の一部も野田氏へ協力する方向だという。この動きに、神経をとがらせるのは、河野氏の陣営だ。河野氏は昨日、石破氏と会談して協力を求めている。

「安倍前首相や派閥のボス、麻生太郎副総理兼財務相に支援を求めている河野氏が、2人と敵対してきた石破氏に協力要請したのは大きなバクチだった。だが、党員に人気がある石破氏はとりわけ、地方の党員票に強い。石破氏が不出馬なら、その党員票を取り込み、圧勝してその勢いで議員票もという戦略を描いていた。だが、野田氏が出馬すれば、正直、痛い。高市氏と女性候補が2人というのは、総裁選では初になる。河野氏が取れそうだった票が2人に流れてしまう可能性が高い。戦略通りにいかないのではないかと心配する声がでている」(河野氏支援の国会議員)

 もう一人の有力候補、岸田派の国会議員は野田氏の出馬を歓迎している。

「野田氏の出馬により、議員票で河野氏に勝てる可能性がでてきた。党員票でも思ったほど、河野氏が優勢というわけではない。例えば、大阪では日本維新の会が強いでしょう。河野氏が菅政権継承なら官邸と維新とのパイプも続き、否決された大阪都構想をもう一度と言い出しかねず、拒否反応も強い。そこへ野田氏が名乗りを上げたとなれば、党員票がさらに割れる。河野氏がダントツではなくなるので、うちにチャンスがあるかもしれない」(同前)

 岸田派は党員票383票の行方についてこう推測しているという。

「河野氏が160、岸田氏が120、高市氏と野田氏を合わせて100と予測しています。あるメディアが自民党員を対象に世論調査した内容では、次期首相は河野氏が25%、石破氏が21%、岸田氏が19%、高市氏が16%、野田氏が3%でした。世論調査の上位の1番の河野氏と2番の石破氏が手を組めば、普通は勝ちますよ。河野氏かと私も思った。しかし、党内の様子から一筋縄ではいかない感じがする。河野氏と岸田氏でかなり激戦になるという空気があります。野田氏は推薦人20人をよく集めたと思う。ひいき目ももちろん、ありますが、野田氏の出馬で、岸田氏へ有利な方に働いたのかな」(自民党幹部)

 河野氏圧勝ムードから一転、勝負の行方は混とんとしてきた。

(AERAdot.編集部 今西憲之)