(撮影/写真部・東川哲也)
(撮影/写真部・東川哲也)

――19年に所属していた事務所を退社しました。その当時のことを教えてください。

私は映画がすごく好きで、作品に対しての思いがすごい強いんです。とてもこだわっていたので、退社前の後半の方は、全部自分で作品を選ばせてもらっていて、事務所も自由な環境を与えてくれました。ただ、やはり徐々に目指す方向性だとか仕事に対する考え方などにずれが生じ始めました。もちろん私も、日本での活動を続けたいという思いもありましたが、「アメリカでオーディションに受かって、地に足を付けて仕事をしていきたい」という思いが強かったので。

――不安はありましたか?

不安はなかったです。そもそも数年はオーディションに受からないだろうと覚悟していました。「最初の2、3年はそのつもりでやるしかないな」と。最初はオーディションに全然受からず、現実を突きつけられて、「やっぱりそんなに簡単なことではないんだな」と感じることもありました。でも、挑戦したい思いは私にとって譲れないものだったので、「目標を忘れないこと」を常に自分に言い聞かせることでモチベーションを保っていました。

――これまでにオーディションはどのくらい受けましたか?

数十本……百本は超えていないと思います。

――実際に海外の作品に出演して違いを感じたことはありますか?

圧倒的に撮影時間が長いです。日本だと、監督のビジョン、カット割りに沿ってなるべく少ない回数で撮影していくのが主流ですが、アメリカは最終的に編集で作品を作っていきます。編集で方向性をいくらでも変えていくので、最初から最後までいろんなパターンでたくさん撮ることになります。初めは体力的にもメンタル的にも、本当に大変でした。あと海外ではキャストの方や監督と食事をするキャストディナーという習慣があります。19年にNetflixで公開された『マーダー・ミステリー』の時、遅刻しそうになってしまって、なんとか時間ピッタリに着いたんですが、誰もまだ来ていなくて、2,30分間ひとりきりでした(笑)。

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