巨人・菅野智之(C)朝日新聞社
巨人・菅野智之(C)朝日新聞社

 一時の不調なのか、衰えなのか――巨人・菅野智之が本来の投球をなかなか取り戻せない。7日のDeNA戦(横浜)に先発したが、5回途中7失点KOで今季6敗目。4回までは無失点に抑えたが、5回に連打を浴びると歯止めが利かない。制球が高く、球に本来のキレがないため簡単にはじき返される。1日のヤクルト戦では、8回1安打無失点の快投で3勝目を挙げてこれからギアを入れていくと思っていただけに、巨人ファンはショックが大きいだろう。

【写真】美しすぎる日本人メジャーリーガーの妻たち(8人)

 入団9年目でこれ程苦しんだシーズンはなかった。故障やコンディション不良に苦しみ、4度の登録抹消を経験。内定していた東京五輪も出場辞退した。昨年は開幕13連勝を含む14勝2敗、防御率1.97。3度目の最多勝、初の最高勝率(.875)、2度目のリーグMVPを受賞と圧巻の投球をみせただけに、今年の不調は首脳陣にとっても大誤算だろう。

 スポーツ紙記者は今季の菅野について、「全盛期は過ぎた」と分析する。

「新人から活躍してきた菅野ですが、2018年がピークだと思います。毎年のように180イニング前後投げ続け、登板過多の影響があると思います。生命線の直球で空振りを取れなくなり、19年以降は打者を圧倒するような投球が見られなくなった。昨年も14勝をマークしましたが、完投数は3つで、勝敗が逆になってもおかしくないマウンドが少なくなかった。今年は体にキレがなく、下半身を使えず球離れが早いため、直球がキレを欠き、高めに浮いたカットボールやスライダーを痛打されるケースが目立つ。以前は悪いなりに抑えていましたが、今は相手打者も菅野の名前に臆せずフルスイングしてくる。昨オフにメジャー挑戦しましたが、現状では厳しいです。このままだと、20代に大活躍して30代は故障に苦しんだ西武・松坂大輔みたいに下降線をたどる恐れもあるでしょう」

 確かに気になるのは、菅野の「絶対的エース」という地位が揺らいでいることだ。シーズンで本当に調子が良い登板は数試合しかない。状態が悪いなりに抑えるのが「エース」だが、今年の菅野は12試合登板のうち4試合は5回持たずに降板している。際どいコースを審判がストライクと取らず、苛立ちを見せる姿も。首位・阪神追撃に向けてエースの復調は不可欠だが、現状では不透明な状況だ。

次のページ