世界で最も注目を集め、破壊的な技術革新を続ける電気自動車企業「テスラ」と宇宙ロケット企業「スペースX」のCEOイーロン・マスクは、過去2人の女性と3度結婚し、いまは3番目の女性グライムスとの間で男の子をもうけている。ちなみに、イーロンとグライムスは婚姻関係を結んでいない。映画「アイアンマン」の主人公さながらの財力と頭脳を兼ね備えたイーロンが愛した3人の女性について、『TECHNOKING イーロン・マスク──奇跡を呼び込む光速経営』の著者の竹内一正氏が前回に続き、今回は2番目の妻と、そして3番目の女性を取り上げ、仕事と恋愛は両立するのか考えていく。

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■前妻と離婚調停中なのに、次の恋に走る

 イーロン・マスクの2番目の妻はタルラ・ライリー。英国出身の女優で年齢は14歳ほど離れていた。

 2008年、2人はロンドンで出会ったが、この時、イーロンは最初の妻ジャスティンとの離婚調停でもめていた。

 気分転換のため訪れたロンドンでのある晩、プロモーターがクラブに連れてきた若い女性たちの中にいた22歳の新進女優にイーロンは目を奪われた。それがタルラだった。映画「プライドと偏見」で主人公の妹役を演じ人気を博した若い女優にイーロンは一目惚れしてしまった。

 ロケットも電気自動車も興味がなかったタルラだったが、イーロンとの会話は盛り上がった。

 だが、彼女の父親はイーロンと付き合うことに反対した。なぜなら、娘の相手の男は14歳も年上で、離婚調停中で、子供が5人いて、経営している2つの会社―テスラとスペースX―は潰れそうだったからだ。

 心配する両親をよそに2人は交際を続け、2010年にめでたくゴールインし、そして、タルラは英国からロサンゼルスへ移り住むことにした。

 この年にテスラは、EVの本格的な量産を目指して、トヨタとGMの合弁工場NUMMI(ヌーミ)を買取ってテスラのフリーモント工場とする。その翌月には、株式上場に成功した。米自動車メーカーの新規上場はフォード・モーター以来の54年ぶりで、テスラは約200億円を調達する。

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