グライムスが男の子を出産したのだ。その子の名は「X AE A-12」(AEはAとEの合字)」。ムー、読めない、とみんな思った。読み方は「エックス・エーアイ・エートゥエルブ」。その意味は次の通りだ。

「X」は未知の変数の意味、「AE(AとEの合字)」はAi(愛とAI)、「A-12」は、航空機SR-71の先駆けとなった、二人がお気に入りの航空機のことだそうだ。しかし、「X AE A-12」はカリフォルニア州の命名法で認められず、「12」を「Xii」に変更するオチがついた。

 何はともあれ、イーロンは6人の男の子のパパとなった。

 この年、テスラ株は8倍に急騰し、時価総額でトヨタを越えてテスラは世界一の自動車メーカーとなった。

「オンナに現(うつつ)を抜かす」

 昔からよく使われた表現で、そして、オンナに現を抜かせば、カネはなくなり、家業は潰れると決まっていた。

 ところがイーロン・マスクはそうならなかった。

 女性に夢中になり恋が膨らんでも、テスラとスペースXの事業が減速するどころか、それまで以上に飛躍させていた。天才経営者は、恋でもビジネスでも怖いものなしだ。なにより、イーロンの恋愛のスピードもビジネス同様に光速だった。

■イーロン・マスクの恋愛8年の法則

 イーロンが愛した3人の女性には共通点があった。それぞれ小説、映画、音楽の作り手であり、つまり知的でクリエイティブな美人が好みということになる。

 さらに、イーロンの恋愛は8年周期であることがわかる。ジャスティンは2000年から2008年、タルラは2008年から2016年だった。

 そうなると、グライムスとの恋の終着点は2026年になると勝手な計算をしてしまう。

 2026年のテスラの予想をしてみよう。今のペースでEV販売が続けば年間500万台を超え、スペースXは火星宇宙船「スターシップ」を打上げている。

 果たしてその通りになるか。そして、グライムスとの恋は続いているだろうか。

 その予想は難しいが、仕事と恋愛で綱渡りを展開しながらもイーロン・マスクの爆走が続くことは間違いない。