昨年の凱旋門賞をソットサスで制したクリスチャン・デムーロ騎手(写真/gettyimages)
昨年の凱旋門賞をソットサスで制したクリスチャン・デムーロ騎手(写真/gettyimages)

 8月の英ヨーク開催が終わったことで、9月の各トライアルレースを残してはいるものの、10月の仏G1凱旋門賞へ向けた勢力図はほぼ固まった。堂々の主役はディープインパクト産駒の3歳牝馬スノーフォールだ。

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 スノーフォールは英オークスを16馬身差、愛オークスを8馬身半差で制したのに続き、古馬との初対戦となったヨークシャーオークスも4馬身差で快勝してG1レース3連勝を果たした。各ブックメーカーの前売りでも3倍強のオッズで1番人気に推されている。ここまでの勝ちっぷりを見れば順当な評価だろう。

 ただしスノーフォールに死角はないかと問われると、ないとは言い切れない。スノーフォール自身には何の責任もないことだが、圧勝した3レースの相手が軽すぎるのだ。英オークス2着のミステリーエンジェルはその後、G2とG3を走って4着に3着と勝ちきれず。英オークス3着で愛オークスは2着のディヴァインリーはヨークシャーオークスで6着と凡走した。

 そのヨークシャーオークスでは昨秋にG1英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークス勝ちの実績がある4歳馬ワンダフルトゥナイトという一流馬と初めて対戦したものの、この馬は重馬場でこそ実力を発揮する馬。馬場悪化を期待していたヨークシャーオークスは良馬場で行われたため、陣営としては4着という結果は度外視できるものだった。

 もう一つの不安材料は、今後のローテーション。英愛オークスにヨークシャーオークスも制して凱旋門賞へというローテーションならば2017年の凱旋門賞を制した名牝エネイブルと同じだ(ただしエネイブルは愛オークスとヨークシャーオークスの間に英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSで古馬の牡馬たちを一蹴している)。

 しかしスノーフォールを管理するエイダン・オブライエン調教師は、凱旋門賞の前にステップレースを挟む可能性を示唆した。使うとすれば9月11日のG1アイリッシュチャンピオンステークスか同12日の仏G1ヴェルメイユ賞ないしG2ニエル賞だろうが、そうなるとほぼ中3週続きで凱旋門賞まで3連戦となる。これは本番直前のローテーションに限ればエネイブルよりもタイトなもので、3歳牝馬にはいささか厳しい日程かもしれない。もちろん名伯楽のオブライエン師だけに、何が馬にとって最善かはしっかり判断するだろうが……。

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スノーフォールのライバルは?