西武のエルネスト・メヒア選手(C)朝日新聞社
西武のエルネスト・メヒア選手(C)朝日新聞社

 東京五輪が盛り上がっていた最中、中断期間のプロ野球では数人の助っ人外国人たちが断腸の思いで日本を去る決断を下した。

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 2014年のシーズン途中から8年間日本でプレーしていた西武のエルネスト・メヒアが7月26日、海外からの入国制限で家族が来日できないため退団することが発表された。また、オリックスのステフェン・ロメロも米国に残している家族との生活を考えて今月3日に退団を申し出た。ソフトバンクに今季から加入したコリン・レイも、8日に球団がウェーバー公示の手続きを申請する発表。前半戦終了後に米国に一時帰国して家族と話し合った結果、退団することを決断したという。

 NPBでプレーする外国人選手の場合、原則として家族の来日は認められていない。楽天のアダム・コンリー、オリックスのブランドン・ディクソンは家族にビザが発給されないことから来日することなく退団。来日してプレーしていた巨人のジャスティン・スモークも6月17日に電撃退団した。

「退団した選手たちは日本の野球、環境に溶け込もうとしたナイスガイばかりです。特にメヒアは日本が大好きで西武を愛していただけに、苦渋の決断だったと思います。レイも米国で誕生したばかりの子供が早産児だったという事情がある。退団した選手たちは政府が家族の来日を認めていれば、日本に残っていたかもしれない」(スポーツ紙遊軍記者)

 14年に本塁打王を獲得するなど来日142本塁打をマークしたメヒアは代打の切り札、チームの精神的支柱として不可欠な存在だった。来日5年目のロメロも今季は打撃不振で苦しんでいたが、実績のある選手だけに首位を快走するチームにとって心強い戦力だった。今季からソフトバンクに加入したレイは前半戦で6試合に先発して3勝1敗、防御率2.03の好成績を残していた。後半戦も先発ローテーションの一角として期待されてだけに、退団はチームにとって大きな痛手だ。

 野球を選ぶか、家族を選ぶか――。この環境の改善を訴えたのがDeNAのケビン・シャッケルフォードだった。自身のツイッターで、「私やプロ野球の外国人選手が求めているのは家族が日本に入国すること。野球か家族か選ばせている。やめたくはない」などと悲痛な思いを7月31日に投稿。家族の来日を求める訴えを外務省に向けて綴った。

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