他で目立ったのは、7月27日の女子ソフトボール決勝、解説の宇津木妙子氏と大西洋平アナ(テレビ朝日)のコンビだ。13年ぶりの金メダル獲得で日本中を熱狂と感動の渦に巻き込んだ女子ソフトボール。次のプレーを“予言”するかのような宇津木氏の的確な解説はネット上を中心に驚きの声が上がった。しかし相方の大西アナは心もとない感じもした。

「野球とソフトは似てるようで別物なんです。野球中継同様に実況していたがプレーの本質を外している様な場面もあった。タイミングを外されているのに『つまった』と言ったりしていた。プレー部分は宇津木氏に任せるべきだったかもしれない。スケボーで倉田アナが競技の解説について瀬尻氏に任せたようにすれば良かったのにね」(スポーツ新聞野球担当記者)

 女子ソフトボールの元日本代表監督である宇津木氏の思いが言葉で漏れてしまう中、大西アナも感情的になってしまった感もあった。金メダル獲得が近づくと1球ごとに感情あらわに実況を続け、胴上げ時には「今度は、横浜の空に舞い上がりました!」と絶叫した。

「宇津木氏の解説は的確で素晴らしい。しかし気持ちが入り過ぎてしまい1プレーごと感情的な言葉が入り込む。女子ソフト界の母のような方ですからこれは良いと思う。しかし大西アナまで引っ張られて感情的な絶叫口調になってしまった。テレ朝はサッカー中継の絶叫調が賛否両論わかれていますが、今回もそれに近かった。古舘伊知郎氏が在籍した頃からのプロレスのスタイルになっていた」(広告代理店テレビ部門担当者)

 アスリートのパフォーマンスと客席の熱狂でスポーツの感動や興奮は伝わってくる。しかし今回のような無観客開催では伝える側の存在がより大きく影響を及ぼすことが明白になった。スポーツ中継の実況を務めるアナウンサーの質については視聴者の間でも議論となるが、改めて「しゃべり」で状況を伝えることの難しさについても考えさせられた。

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