「ゴン攻め」などの解説が話題を呼んだ瀬尻稜氏 (c)朝日新聞社
「ゴン攻め」などの解説が話題を呼んだ瀬尻稜氏 (c)朝日新聞社

 東京五輪が開幕してから約2週間が経った。日替わりにヒーローが生まれ、コロナ禍の中で明るい話題を提供してくれているが、五輪中に注目が集まるのはアスリートだけではない。選手たちの素晴らしい戦いとともに話題となるのがテレビ中継の実況や解説だ。

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 今回の五輪で最も評価が高いのが、7月25日のスケートボード・男子ストリート、解説の瀬尻稜氏と倉田大誠アナ(フジ)だ。今大会新種目で堀米雄斗が金メダルを獲得した瞬間を担当した。歴史的瞬間の伝え手だったのもあるが、2人の息のあった掛け合いは競技中からネット上を中心に大きな話題となった。

 瀬尻氏は大技が決まった際など「ゴン攻め」「ビッタビタ」などの独特な表現を連発。その一方で競技解説は理路整然とスケボー初心者にもわかりやすいと高評価を得た。そして倉田アナは必要最小限の実況に終始し、競技の詳細などは瀬尻氏に任せたのも良かった。

「冬季五輪でのスノーボードやX系スポーツでは解説者が暴走してしまうことがある。自分たちの競技だ、という思いが強過ぎるのでしょう。今回のスケボーも心配したのですが瀬尻氏はバランスが絶妙。倉田アナも勉強されていたのがわかったが、知識をひけらかさず瀬尻氏のサポートに徹している感じだった。素晴らしいコンビでした」(スノーボード協会関係者)

 五輪やサッカーW杯などのビッグイベントのテレビ放送は独特の中継形態が取られる。NHKと民放の放送局で構成される「ジャパンコンソーシアム(JC)」とが放送権を獲得。各局から派遣されたアナウンサーによって中継が行われる。スケートボード・男子ストリートはNHKのEテレが担当したが、、実況はフジの倉田アナ、解説は瀬尻氏だった。

「倉田アナには不安の声もあった。フジ系はスポーツ中継でもバラエティっぽさが抜けないのが有名です。アスリートに対するリスペクトが足りないのでは?と問題視されることもある。若者文化という競技特性もあり解説の瀬尻氏にも心配があった。コンビ結成が決まってから2人で練習もしたそうです。努力の成果というか素晴らしい中継でした。フジ系もできるじゃん、という声も出ました(笑)」(広告代理店テレビ部門担当者)

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