久保建英 (c)朝日新聞社
久保建英 (c)朝日新聞社

 U-24サッカー日本代表の戦いは、準々決勝で終戦となってもおかしくはなかった。

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 立ち上がりのチャンスを生かせず得点を奪えずにいると、ニュージーランドの組織的かつ勇気を持ったプレスに苦しみパスワークを形骸化させられた。後半戦以降もサイドを突破口に何度もチャンスを作り、シュート数で20対8と大差をつけたが、最後まで諦めることなく、時にはファウルもいとわない泥臭さで粘られ、延長120分を戦い抜いて0対0。チームとして「自分たちの戦い」をしたのは、間違いなくニュージーランドだった。

 だが、日本は勝った。運の要素と同時にメンタル力も問われるPK戦に勝利。ビッグトーナメントの中で必ずある“苦しいゲーム”を勝利したことの意味は、非常に大きい。選手一人一人、特に攻撃陣の中にあった「いつかは点を取れるだろう」という気の緩みや、選手起用の疑問・改善点(スタメンで中山雄太、上田綺世を使い、途中から旗手怜央、林大地で使うべきではなかったか。三笘薫をチームとして生かせず。所属チームが同じだった田中碧と旗手怜央を同時に起用する方法もあったのでは)が目に付き、「120分間+PK戦」のヒリヒリとした試合を強いられたが、それでも決勝トーナメントは何より結果が重要だ。この日の収穫は「勝ったこと」。次に進むことで、この日の課題を改善することができ、個人、チームとして成長することができる。日本のサッカー界にとって非常に意味のある「勝利」になった。

 そして次はいよいよ準決勝、スペイン戦を迎える。スペインリーグに籍を置く久保建英は、「今日は攻撃陣が助けになれず守備陣に迷惑をかけた」と素直に反省しながら、打倒スペインへ向けて「もうある程度、グループリーグが始まる時から、準決勝は普通に行けばスペインだと思っていた。ひとつひとつという話はしていましたけど、ここに自分の100%の力で行こうと思っていますし、120%、150%で、チームを勝たせたいと思います」と早くも闘志満々。気合の入った言葉を並べた。

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スペイン戦はどうなるのか?