<皆さまの安全を第一に感染防止には十分に配慮して準備させて頂きます>とある。

 当日は消毒や間隔をあけるなど感染対策を講じて開催。パーティーは約1200人が参加した。岸田氏、林氏らが檀上にあがり、二階俊博幹事長も、挨拶に駆け付けていた。

「最初は宴会場6部屋を確保していました。1つの部屋に詰め込まないのは、三密回避からです。昨年は2000人くらい参加したのに、今年は1200人で結局、2部屋か3部屋だけしか使わなかった。これは感染症対策というよりは、コロナで開催できるかどうかも定かじゃなく、パー券をとても買ってくださいとは頼めないので、参加者が少なかったのではないかとみています」(前出・宏池会所属の国会議員)

 今回の影響は多方面に出ている。感染の秘書は、普段は岸田氏の運転を担当。岸田氏も濃厚接触者となりかねない状況だ。宏池会所属のある国会議員も、コロナ感染を聞かされ、さっそくPCR検査を受けたという。

「コロナ感染者が出入りしていたことで、宏池会の派閥事務所もクローズとなりました。岸田会長の秘書以外の秘書はパーティー後5日ほどで感染がわかった。やはりパーティーが原因ではないかと言われています。パーティーでは食事も出なかったんですが……」(前出・秘書)

 今年3月の岸田氏の地元、参院広島選挙区再選挙では自民党候補が野党候補の宮口治子氏に敗北。岸田氏は現在、無役で求心力が課題となっている。林氏の衆院鞍替えで、反撃を期していた。

「参院広島選挙区で負けてから、元気がなかった岸田会長ですが、林座長の鞍替えでやる気満々でした。それが、こんなタイミングで岸田会長まで、濃厚接触者となりかねない状況です。命運尽き、運に見放されたのか…」(前出・宏池会所属の国会議員)

 岸田事務所に事実関係を尋ねようと取材をするも「秘書が一名感染したと衆議院に届け出た。これ以上のコメントはない」とにべにもない対応だった。

 感染が相次いだことに対し、国民にどう説明するのか。今回の代償は大きそうだ。(AERAdot.編集部 今西憲之、吉崎洋夫)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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