「私と炭谷本人、球団でよく話し合った上で、このような選択になりました。巨人軍で得た経験を、これからの野球人生にいかして、野球人としてさらに飛躍してほしいと思います」(原辰徳監督/4日、球団発表)

 移籍に関して様々な評価があるのは事実だが、今回は両球団の明確なビジョンがわかる移籍だ。編成面を任されている実質全権監督の原監督のコメントからも周到な準備をしていたのがわかる。

「巨人の戦略的な動き。シーズン中のビッグネームの移籍は影響力が大きい。チーム内の戦力的な部分、モチベーション、そしてファンの心証も加味して慎重にならざるを得ない。今年は各球団主力級にも移籍の噂が聞こえてくるが、そんなに簡単に決められるものではない。両球団に大きなメリットが求められる」(在京球団編成担当)

 元々、巨人でトレードの噂が絶えなかったのは、炭谷ではなく小林だった。13年ドラフト1位で巨人に入団した小林は、球界屈指の強肩を誇り守備面での評価は高いが、打力の弱さは度々指摘される。今季はこれまで18試合の出場にとどまり、開幕直後には二軍落ちをするなど、現在レギュラー捕手の大城卓三、期待の若手・岸田行倫との競争の中で、“余剰戦力”になっているという声もあった。

 最終的に、巨人は同じく“守備型”の炭谷と比べ、小林で行けると判断をしたのだろう。また、生え抜きでイケメン選手として人気の小林を残したのは、ファンを含め、周囲からの反発などを防ぐという意味も合いもあったのかもしれない。

 今回、巨人と楽天では互いのチームの思惑が一致してトレードが成立したが、他にもトレード候補として名前が挙がっている選手は多い。ここ最近は、トレードも盛んに行われていることから、各球団の条件が揃えば、ビッグネームのトレードが成立する可能性もあるのだろうか……。

「例えば中田翔日本ハム)や堂林翔太(広島)にも移籍の噂が聞こえるが、可能性は限りなく低い。仮に移籍の場合、2人を超えるような成績、印象を残せる選手を獲得できなければ意味がない。ネームバリューのある『生え抜き』、チームの顔をシーズン中に移籍させるメリットは少ない。藤浪晋太郎(阪神)のように、我慢して残している間に復活して欲しいのが本音」(在京球団編成担当)

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今後、大物のトレードはあるのか?