試合に挑む直前の石井(左)と村上(右)(写真/ビーチバレースタイル)
試合に挑む直前の石井(左)と村上(右)(写真/ビーチバレースタイル)

 東京2020ビーチバレーボール競技の開催国枠として出場するチームがようやく内定した。権利を得たのは、石井美樹(荒井商事/湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組。5月22日(土)、23日(日)、東京都立川市のドーム立川立飛で開催された「東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦」で頂点に立った。

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 2017年以降、日本のトップランカーとして君臨してきた石井/村上組。世界ランキングでもオリンピック出場枠を狙える位置におり、今大会も当然、優勝候補筆頭にあげられていた。しかし、初戦となった2回戦で『女王』に黒星がついた。若手の台頭である鈴木千代(クロス・ヘッド)/坂口由里香(大樹グループ)組に0-2(20-22,15-21)で敗れ、敗者復活戦にまわった。

『女王』は、もう後がない状況に追い込まれた。「当然プレッシャーがかかる試合。そこで自分の力をどう出せるか」と語っていた村上と石井は、準決勝進出をかけた坂口佳穗(マイナビ/KBSC)/村上礼華(ダイキアクシス)組戦で2-0(21-11,21-12)で勝利し、最終日へつなげた。

 さらに西堀健実(トヨタ自動車)/溝江明香(トヨタ自動車)組と戦った準決勝では、世界上位チームからも恐れられる持ち前のサーブ力を発揮。2-0(21-15,21-14)と危なげなく勝利し、敗れた西堀は「石井/村上組の一番の強み。もちろん警戒していたが、2人の間を狙われてサーブポイントを奪われてしまった」と敗因を語った。

 決勝戦の相手は、一度敗れた鈴木/坂口組だった。「昨日と同じようにプレーすれば勝てるかもしれないと思ったが、相手はさすがベテラン。自分たちの悪かった点を修正してきて私たちの穴をついてきた」と鈴木が振り返るように、決勝戦は石井/村上組が試合を支配した。

 石井/村上組の最大の武器であるスピードサーブはネットを越えたところでストンと落ち、さらにコースの幅も自在にコントロール。「一球一球に魂を込めてプレーした」と言う石井が相手の攻撃体勢が崩れたところを見逃さず、強烈なスパイクを打ち付けていく。第1セット、第2セットともに鈴木/坂口組に主導権を渡すことなく、2-0(21-16,21-12)で決着をつけた。『女王』石井/村上組は、これまでのしかかったことのないプレッシャーを大舞台で跳ねのけた。

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プレーの精度を欠いた場面もあったが…