客席に手を振る池江璃花子(C)朝日新聞社
客席に手を振る池江璃花子(C)朝日新聞社

 西村康稔経済再生担当相が9日、NHKの討論番組「日曜討論」に出演。新型コロナウイルスの感染拡大で収束の見通しが立たない中、東京五輪開催について述べた発言で反発の声が上がっている。

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 西村担当相は「国民の皆さん、様々なお気持ちを持っておられると思います。感染が広がるのではないかという不安の声もあると思いますし、一方で池江璃花子さんのああいう本当に頑張っておられる姿を見て活躍をする場面を見たい、マラソンも見たいと思っている方もおられると思います」と白血病から復活し、東京五輪代表に決まった競泳女子の池江の名を挙げた。

 そして、「それぞれいろんなお気持ちがあると思いますが、IOCと関係者が一体となって安心、安全な大会となるように全力を挙げているところであります」と強調。「私が(五輪)開催の可否について言う責任者ではありませんのでこれ以上は申し上げませんけれども」と前置きした上で、「私の立場で今回の緊急事態宣言を5月末に延長させて頂きました。何としてもこれで感染を抑える、それに全力を挙げていきたいと考えておりますし、ワクチン接種を着実に進めることが皆様の安心につながると思いますので、河野大臣、田村大臣をサポートしてしっかりと取り組んでいきたいと考えている」と語った。

 一般紙の政治部記者は「この発言は誤解される」と顔をしかめた。

「西村さんは池江選手の名前を出す必要はまったくなかった。池江選手はツイッターで『辞退してほしい』など五輪出場辞退を求めるメッセージなどが送られて苦しい思いをしていることを明かしている。この西村さんの発言で、池江さんが五輪開催に向けての切り札と受け取られかねない。アスリートを巻き込むべきではなかったと思います」

 SNSやネット上でも、西村担当相の発言に対する反発の声が続出。「利権を守るために、池江さんの名前を出してほしくない。池江さんは、私なんかよりずっと苦労もしてきて成績を残して日本への貢献もしてきて立派な方ですが、20歳くらいなんですよ、まだ。お若い方に、これ以上負担を強いたり、批判の矛先になるようなことをするのは、本当にやめてください」、「個人名を挙げるとその人の顔が浮かび、頑張っているのではないかという思いから反対しづらくなります。それを狙った発言なのでしょうが、最低ですね。コロナ担当相というなら個人名をあげて大衆を誘導するような発言ではなくて、コロナを抑える為の有効的な策を述べるべき。選手もだだでさえプレッシャーがあり、コロナの中で競技する事に葛藤している選手もいるはず。そこにテレビでコロナ担当の人に名前を挙げられて、開催する為の盾に使われれば個人の選手はたまったものではない。全く選手ファーストにもなっていない」などのコメントが見られた。

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