「千葉県北西部や茨城県南部はプレートが複雑に重なっている影響でもともと揺れやすい。それに加え、東日本大震災の余震で、震災以前と比べて、20~30%程度、地震が多くなっている。その分、首都直下地震が起こる可能性も高まっている」

 西日本のランキングも見ていこう。最も多かったのは高山市(岐阜県)で201回、隣接する飛騨市(同)が50回と続いた。

 高山市と飛騨市では、昨年5月に局所的に断続的な地震が頻発する群発地震が起きており、回数が増えた。この地域は東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートがぶつかる場所だ。東日本大震災以降、新たな歪みが溜まっているというサインという指摘もある。

 この他には、冒頭の十島村が47回、東伊豆町(静岡県)と和歌山市(和歌山県)が41回、竹富町(沖縄県)が39回と各地で地震の多さが目立つ。

 心配なのは、南海トラフ地震だろう。地震調査委員会はM8~9くらいの地震が30年以内に70~80%の確率で起きるとする。死者は32万人を超えるといわれる。

 立命館大の高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は「南海トラフだけではなく、東は相模トラフから西は琉球海溝にいたる広い範囲での大地震が起こる可能性が高まっている」と指摘する。特に注意して見ているのが、震源の深さ40から60キロなどの深いところで起きる強い地震だ。西日本の大地や首都圏の下には太平洋側からフィリピン海プレートが沈み込んできており、このプレートの境界で起きる地震を見ている。

 静岡県から愛知県、和歌山県の南海トラフ沿いの地域や、鳥取から広島を通って宮崎県東部沖の日向灘に至るエリア、さらには宮古島(沖縄県)や台湾などでもプレート境界で強い地震が増えているという。

 高橋特任教授はこう見る。

「16年に本と鳥取、18年に大阪などで大きな地震が起きているが、これは巨大地震の兆候とみなしている。1946年に起こった南海地震でも、1943年の鳥取地震から1948年の福井地震まで大きな地震が続きました。各地の地震や鹿児島の諏訪之瀬島や桜島などの噴火も巨大地震のサインと考えるべきです」

 巨大地震はいつ起こっても不思議ではない。備えておこう。

(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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