吉村洋文大阪府知事(C)朝日新聞社
吉村洋文大阪府知事(C)朝日新聞社

小池百合子東京都知事(C)朝日新聞社
小池百合子東京都知事(C)朝日新聞社

帰国して官邸に入る菅義偉首相(C)朝日新聞社
帰国して官邸に入る菅義偉首相(C)朝日新聞社

 大阪府の吉村洋文知事は4月20日にも新型コロナウイルス感染急増を受け、政府に緊急事態宣言の再発令を要請する。菅義偉首相が週内に見極めて最終判断するという。だが、政府関係者は大阪の蔓延を「人災」と憤る。

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「とにかく大阪の病床はもう持ちません。今週中と言わず、大阪には一刻も早く宣言を発出すべきです。実際、大阪ではコロナ病床が埋まってしまったことで入院できず、亡くなられた方も出ています。これはこんな状況なのに呑気に訪米をしていた菅首相と日米首脳会談が終わるまで我慢し、“忖度”していた吉村知事による人災です。吉村知事は菅首相の帰国を待って19日にようやく要請を表明しました」

 一方、東京都の小池百合子知事は吉村知事より1日早い18日夜、緊急事態宣言を要請する方針を表明していた。

「今は先手先手の対応が不可欠です。緊急事態宣言の要請も視野に入れまして、スピード感をもって検討するよう、きょう(18日)職員にも指示をしました」(小池知事)

 しかし、肝心の菅官邸は小池知事の「先手先手」発言にカチンとなっているという。

「菅首相は当初、『(緊急事態宣言を出し)休業要請となると財源(国費負担)の懸念がある』と財務省に忖度して宣言には消極的でした。ところが、『わきまえない女』の小池さんが突如、空気を読まず、大阪より先に宣言要請発言をしてしまったことで、吉村知事も引けなくなってしまいました。現在、菅首相は『吉村さんとは大違いだ。決めるのは私であって、簡単には(小池さんの)要請は受けない』と本気で不快感を露わにしています」(官邸関係者)

 緊急事態宣言が発令されれば昨年4月、今年1月からに次いで3回目になる。現在、大阪と東京は宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が適用中で、飲食店には午後8時までの営業時間短縮要請を続けているが、変異ウイルスで感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。

「小池さんの『先手先手』発言は別に菅首相に先手を打つのではなく、コロナに対して先手を打つという意味だと思います。しかし、小池さんが大嫌いな菅首相はそこが理解できないのです。『主導権は絶対に渡さない』と戦闘モードになっています。菅首相は今週後半にも小池さんに対し、政局を仕掛けるべく根回しをしています。だが、今は好き嫌いではなく、人命にかかわることですから菅首相は科学に基づき判断すべきなのですが…」(自民党幹部)

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意固地になる菅首相