「5年間の契約を実行委員会とキョードー東京は結んでいた。普通の感覚なら5年間を満了してから、次を考えたと思います。職員では太刀打ちできないほど法律に詳しいです。職員にとってはキョードー東京と揉めて内心、大丈夫かと不安もありますよ。市長は『大丈夫』と自信を持っている。説明されると、確かにそうだと納得させられます」

 だが、キョードー東京の前田三郎取締役も4月12日の記者会見で応酬。

「昨年はコロナで中止となった。コロナの場合は500万円の支払い免除となるという書面を交わしている。契約不履行はない」

「理不尽だと思う。それが内藤市長のやり方なら非常に残念」

 真っ向から対立し、泥沼化している。徳島市議の一人は、こう舞台裏を話す。

「阿波おどり実行委員会は遠藤前市長が発足させた。委員は当初から経済団体の役員と市長、遠藤氏。阿波踊りの素人ばかり。おまけに予算もなく実質的な事務局は徳島市でやっていた。内藤市長は『そんな実行委員会で責任もって阿波踊りがやれるのか。無責任すぎる』という思いを持っていた。そして3月末に実行委員会の委員の任期満了となり、複数の委員から再任してほしくないという意向もあって、内藤市長も同意して解散となったのです。キョードー東京との契約は実行委員会とのもので徳島市ではないという理屈です」

 確かに契約主体の阿波おどり実行委員会がなくなれば、契約の継続のしようがない。だが、地元メディアなどではやり方が強引だという批判の声もあがっている。

「キョードー東京と話し合いをすべきではないか」

「事前に契約解除の通知をしないのは、信義則に反する」

 キョードー東京の前田氏は記者会見でこうも訴えた。

「21、22、23年度の阿波おどり事業を受託できなかったことで、収益を得られない損害をこうむることになった。法的な考え方もせざるを得ない」

 それに対して、内藤市長はこう突っぱねた。

「キョードー東京とは話し合いをしていたが、平行線のまま。契約には解除するときに通告が必要とは書いていない」

 全国最年少の女性市長は阿波踊りでどんな手腕を見せるのだろうか?(今西憲之)