デイケアで同病の仲間と出会えたことも、宝物です。つらかった経験を話してわかってもらえたときは、スッと気持ちが楽になった。結果論ですが、精神科の主治医だとかデイケアの仲間とか、この病気になったからこそ出会えた人もたくさんいます。前向きに考えられるようになったことも、デイケアのおかげかもしれません。

――病気を徐々に受け入れていったのでしょうか?

 統合失調症という病名がはっきりわかったのは20歳過ぎでしたが、それまで病名はあまり気にしたことはなくて、むしろ症状が気になりました。高校の頃だったか、精神疾患の本を見ると「こういう症状が出る場合は統合失調症が疑われる」というようなことが書いてあって、その通りのことが自分に起きているんですよね。「ああ自分の病気はこれだな」と病名を推測できました。あとから病名がついてきた感じでしょうか。

 病名がある程度推測できたことで、半分はスッキリしました。不可解な症状が病気のせいだとわかれば、納得できますからね。だけど「自分は統合失調症なんだ」と認めるのはきつくて、現実を受け止めるまでにはかなりの時間がかかりました。

――現在はどのような生活を送っていますか?

「寛解」といって、ほぼ症状が見られない安定した状態になり、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンターのデイケア、イルボスコで、若い世代のデイケアを運営する仕事をしています。再発する可能性もありますから、体調を維持するため、夜更かしをしない、お酒は飲まない。羽目を外すような遊び方はしません。気をつけることが当たり前の生活になりました。仕事をして終わったら一休みして家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って寝て……つまらない生活だと思われるかもしれませんが、そんなありきたりの毎日が今はすごく楽しい。働けること、そして社会とかかわりがあることがうれしいんですよね。昔はそういうことすらあきらめていましたから。

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