中日・小笠原慎之介 (c)朝日新聞社
中日・小笠原慎之介 (c)朝日新聞社

 セ・リーグでは昨年新人王に輝いた森下暢仁(広島)、パ・リーグでは高校卒2年目の宮城大弥(オリックス)が早くもチームのエース格となっているが、その一方で期待されながらなかなか結果を残せていない投手も少なくない。そんな“万年エース候補”の中から、今シーズンこそはブレークを期待したい投手をピックアップして紹介したいと思う(成績は4月11日終了時点)。

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 まず真っ先に挙げたいのが小笠原慎之介中日)と今井達也(西武)の夏の甲子園優勝投手の2人だ。小笠原は2年目から2年連続で5勝をマークしたものの、過去2年間は3勝、1勝と勝ち星が減少し、昨年は防御率7点台と自己ワーストの数字となっている。冒頭で紹介した森下とは高校3年時にU18侍ジャパンでチームメイトとなり、小笠原のボールを見た森下が高校からのプロ入りを断念するきっかけになったとも言われているが、現在では立場が完全に入れ替わっている状況だ。

 今年はまさに崖っぷちとも言える状況だったが、オープン戦で結果を残して開幕ローテーション入りを果たすと、シーズン初登板となった3月28日の広島戦では6回を無失点と好投。続く4月4日の阪神戦では負け投手にこそなったものの6回途中を2失点、7奪三振と結果を残し、4月11日のヤクルト戦では7回を1失点、6奪三振の内容で今季初勝利をマークした。これまで防御率1.45と安定した投球を見せている。

 ストレートに力強さが戻ってきたというのが大きなプラス要因で、決め球のチェンジアップが生きるようになってきた。エースの大野雄大が開幕から調子が上がっていないだけに、貴重な左の先発としてローテーションを支える活躍が期待される。

 今井も2年目に5勝、3年目に7勝と順調にエースへの階段を上っているように見えたが、昨年は3勝、防御率6点台と大きく成績を落とした。今シーズンはここまで2試合に登板して0勝1敗、防御率2.70と数字的には悪くないが、いずれの試合も5回まで投げてイニングを上回る四死球を与えて降板しており、課題の制球難は相変わらずという印象が否めない。

 ただそれでもストレートは常に150キロ以上をマークしており、スピードに関しては全12球団の中でもトップクラスであることは間違いない。カウントを整える変化球さえマスターできればガラッとピッチングが変わることも期待できる。チームにとっても命運を握る存在だけに、今シーズンこそ何とか一本立ちさせたいところだ。

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3年目の巨人左腕も…