放送作家の鈴木おさむさん
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この人と同じ?!(c)朝日新聞社
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 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、森喜朗氏の失言問題について。

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 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の「失言」が日々、話題になっている。あれを見て「なんで、あんなこと言っちゃうんだろうな」とか「そりゃ、怒るわ」と思っている人多いだろう。僕だってそうだ。だけど、まさか、自分が「そっち側」だと思っている人なんかいないだろう。

 数年に一度、僕は妻にめちゃくちゃ怒られる。怒られる理由はコミュニケーションの取り方についてだ。以前、怒られた時には、僕の妻への言い方が高圧的であることを怒られた。そこから、反省し、自分なりに改善をしていたつもりだ。

 だが、人間の根本は治らない。再びの緊急事態宣言になり、ほぼ家での仕事になった。僕の仕事は「会議」と「執筆」である。「会議」はテレビ局などでやることが多かったのだが、リモートになり、「会議」も「執筆」も家でやることが多い。そして息子、笑福は保育園に通っているのだが、うちの保育園では緊急事態宣言中は自粛の要請がでている。妻はなんだかんだで日々外に仕事に出かけていくが、僕は家での作業が多いので、息子が家にいることが多い。息子とコミュニケーションが増えているのはすてきなことなのだが、家でのリモート会議中に、ゲームやYouTubeの音が大きかったりすると注意したり、会議と会議の合間も一人で休んだりが出来ず、日がたつごとに、少しイライラしている自分がいた。イライラしているのも分かっていたし、妻との会話の中でも、つい、そんな自分が出ているのが分かった。数年前に怒られて反省したにも関わらず、妻との会話でつい、嫌な自分が出てしまう。

 人間って不思議なもので、「今、自分、嫌な言い方したよな」ってわかっているのに、言っちゃうんですよね。そして気づいているのに、すぐには謝れない。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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