投手陣も今やチームのエースと言ってもいい西勇輝、昨シーズン西勇輝と並ぶ11勝をマークした秋山拓巳、7勝を挙げたサイドスローの青柳晃洋、期待の若手左腕・高橋遥人と、リーグ屈指のローテーションを作り上げることも可能なメンバーがそろう。もともとブルペンは安定しているので、攻守に隙のない陣容となりそうだ。

「メンツだけを見ると優勝候補。心配なのは経験が圧倒的に不足していること。これまでは投手陣に藤川球児、野手陣に福留孝介というメジャーでプレーした経験もある大ベテランがいた。若手のサポートもしつつ、大事な局面ではとびきりの集中力を発揮した。2人の抜けた穴は想像以上に大きい。糸井嘉男もいるが、マイペースで周囲を気にするタイプではない。特に優勝争いのかかった終盤戦でどうなるか心配」(阪神担当記者)

 戦力的には優勝候補と言えるだろうが、それだけで勝てる訳ではない。「来る者あれば去る者も」ではないが、グラウンド外でも大きな存在であった藤川、福留の退団はシーズンの重要な局面でどう影響してくるか……。

 そして、その選手たちを束ねる矢野監督の采配も気になる。

「矢野監督自身が切羽詰まった立場。采配面に関しては一貫性のなさや、不可解な選手起用があると指摘される。3年目で結果を求められる中、補強などに球団は予算を割いてくれた。結果を出せなければ、来季以降はどうなるか分からない。オフに積極的にメディアに出演するのも、イメージ回復の意味合いもあるのだろう」(在阪テレビ局関係者)

 現役時代は捕手として攻守にわたって活躍したのは知っての通り。指導者としても、二軍監督となった18年には、就任1年目に12年ぶりとなるファーム日本選手権優勝を経験。金本知憲前監督の辞任を受けて、急遽の一軍監督就任となったが、期待も高かった。しかし一軍監督としては力量不足を感じさせるのも否めない。藤浪晋太郎の育成方法に悩んだ時期は、優柔不断で決断力の無さが指摘された。また球界トップの捕手とも評される梅野ではなく、坂本誠志郎をたびたび起用するなど、疑問符のつく采配も目立つ。

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「巨人がライバルという意識は薄く…」