「集団」から「個」が尊重される時代になり、休校や急速なオンライン化をきっかけに、教育子育てへの価値観が大きく変化した昨年。学校から与えられる勉強だけでなく、その子らしい「個性」「好きなこと」を見つけて、伸ばしてほしいと多くの親が考えるようになっています。でも、現実にはなかなかうまくはいかなくて……。「AERA with Kids冬号」では「子どもの好奇心に火をつける」授業で注目を集める探究学舎代表の宝槻泰伸さんと人気講師の福井健さんに、ママたちからよく聞かれる悩みにズバリ答えていただきました。

*  *  *

【悩み1】
「これが好き!」という一つのことになかなか出合えません。実験をしたり、イベントに参加したり、私が誘うとその場ではかなり盛り上がるのですが、しばらくすると飽きてしまうようです。(小2女子の母)

【宝槻さんのアドバイス】
「没頭させなきゃ」という不安を「いつかそういう日がくる」という期待に変えて

 一つのことを極めてほしいと願う親は多いですが、親自身の過去を振り返っても、小学生のうちから何かに夢中になれることは奇跡。親には不安と期待の気持ちの両方があるけど、悠然とかまえて。「没頭しなくてはいけない」という焦りや不安を、そのうち夢中になるものに出合えるという「期待」に変えましょう。興味を持つ→飽きるを繰り返すなかで、子ども自身が「好きではないものを発見する」ことにも価値があります。

【悩み2】
わが子はいつもゲームに夢中。おもしろそうな学びへと誘っても、「今はいい」と気のない返事。私としてはゲーム以外にも興味を持ってほしいと思っているのですが……。(小2男子の母)

【宝槻さんのアドバイス】
ゲームがすべて「悪」とは限らない。「面白くてためになる」ゲームを探してみよう

 よく聞かれる悩みです。まだその子にとって「面白くてためになる」学びに出合えていない可能性があります。アプローチの仕方でも「ゲームなんかしてないで、こっちにしたら?」みたいな言い方をされると、どんなにそれがいいものでも子どもにとって退屈に思えてしまいます。ゲームがすべて「悪」というわけではありません。創造力を伸ばしてくれるような「善」のゲームを探してみてもいいと思います。

次のページ